落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

頭にきて、ブチ切れそうなときにお勧めの落語って、あるんかい!!

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。毎日の生活で、頭にきて、切れそうになるときって、ありますよね? ネチネチと嫌味を繰り返す上司や、ワガママばかり言う旦那に、落語のように威勢よく啖呵を切りたくなるときって、ありませんか。

 

「てやんでい! うるせえな、こんちくしょう!! 黙って聞いてりゃ、いい気になりやがって!」

 

でも、それをグッとこらえなくちゃいけないのが、人生の辛いところ。だったら、落語を聞いてスッキリしましょう。というわけで、頭にきて、ブチ切れそうなときにお勧めの落語を紹介します。

 

大工調べ

 

与太郎のところへ、仕事の知らせに来た大工の棟梁。しかし、与太郎は家賃を溜めてしまい、その抵当に道具箱を取られてしまったという。棟梁は自分の持ち合わせを渡し、与太郎に取り返しに行かせるのだが、余計にこじらせてしまう。仕方なく、棟梁が大家のところへ出向くのだが、意固地になった大家は道具箱を返そうとしない。我慢を重ねた棟梁が、ついに威勢のいい啖呵を切る。古今亭志ん朝の啖呵は、まさに絶品。聞くべし。

 

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たがや

 

今日は、花火が打ち上げられる両国の川開き。両国橋は見物客で大にぎわい。そこへ馬に乗った旗本の一行が通りかかる。花火見物で大混雑の橋の上を、「寄れいっ、寄れいっ!」とかき分けるように渡り始めた。そのとき反対から渡ってきたのが「たが屋」さん。当時の桶や樽は、青竹のたがで外側を締め、作られていた。たがを丸めて担いでいたのだが、押されて落とした拍子に、馬上の殿様に当たってしまったから大変なことに。何度もお詫びをするが、殿様は許さない。たが家の我慢も限界に。「斬れるもんなら、斬ってみろい!」

 

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三方一両損

 

左官職人の金太郎が財布を拾い、中の書付から大工・吉五郎のものだと分かったので、届けにいく。ところが吉五郎は、「俺の懐から出てった金はいらない。お前にくれてやる」と言って、受け取らない。金太郎も「そんな金は受け取れねえ」と言い合いになり、ついには大げんかに。宵越しの銭は持たないという職人たちの、威勢のよい啖呵の応酬が始まる。仲裁に入った大家にも、どさくさに紛れて啖呵をきるところが、なんとも可笑しい。

 

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かんにん袋

 

長屋住まいの大工の熊の夫婦は、年がら年中、喧嘩ばかりしている。見かねた出入りの旦那が「堪忍袋を作って、不満があったら、その袋の中に不満をぶちまけるようにしろ」と教えてくれる。そこで熊のおかみさんが堪忍袋を作り、二人とも不満があったらこの袋に怒鳴るようになった。すると、あら不思議。二人とも全く喧嘩をしなくなった。この噂を聞いた連中が、「自分にも堪忍袋を使わせろ」と押し寄せるのだが………。

 

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ストレスの多い毎日です。こんな堪忍袋があったら、とても便利なのですが。皆さん、笑いを忘れずに過ごしましょう。

 

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山本一力「落語小説集 芝浜」で、落語と小説の違いを味わう

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語関連の本を色々と紹介していますが、今回のお勧めは、山本一力(やまもと・いちりき)の「落語小説集 芝浜」です。

 

山本一力さんといえば、「あかね雲」で直木賞を受賞し、「損料屋喜八郎始末控え」や「ジョン・マン」シリーズなど、多くの作品を精力的に発表している時代小説の作家です。

 

落語の背景にある時代や登場人物の履歴が補足される

 

「落語小説集 芝浜」は、タイトルの通り、落語を題材に描いた短編集です。収録されている作品は、「芝浜」「井戸の茶碗」「百年目」「抜け雀」「中村仲蔵」の5編。

 

この小説の一番の大きな特徴は、落語の基本的なストーリー、基本的な登場人物、落ちには手を加えていないことです。

 

では、どの部分が創作かというと、時代設定、登場人物の履歴、舞台となる町や店の情報、各シーンの情景描写などが、大胆に加筆されています。

 

落語で時代設定となると、「江戸の時代の噺でございます」くらいの前振りで噺に入ってしまうことが、よくあります。ご存知のように江戸時代は、260年以上もの長きにわたります。この長い期間で、社会通念や風俗、習慣、流行などは変化していきました。特に変わったのが、商業の発達です。商人の台頭と貨幣経済の進展は、人々の生活や考え方にも大きな影響を与えました。

 

この小説では、各編にきっちりと時期が設定してあります。

 

「芝浜」は、腕はいいが酒に溺れて働かなくなった魚屋・勝治郎が、妻にせっつかれて、芝浜市場に仕入れに出かける早朝から、噺は始まります。この小説では、日時を嘉永4年の12月26日未明に設定しています。嘉永6年にはペリーが浦賀に来航していますので、欧米列強が本格的に日本への進出を始めた慌ただしい時期ですね。

 

勝治郎は魚屋といっても店を持っているわけではなく、天秤棒に魚を入れた盤台(はんだい)を下げて売り歩く、「担ぎ売り」です。当時、江戸で一番大きな市場は、日本橋魚河岸。なぜ勝治郎が日本橋ではなく、小さな芝浜の市場まで出かけていたのかについても、小説では説明されています。

 

日本橋には江戸の漁師のみならず、房州や相州からも納めにやってきた。旬の鮮魚なら、地元でさばく倍の値段で買い取ってくれるからだ。しかし、夜通し走ってきた漁船の魚は、穫れたてだと漁師が言っても、すでに半日以上の時が過ぎていた。(中略)

 

芝浜市場に納めるのは、近所の浜の漁師に限られていた。(中略)うまい魚は芝浜に限るという、通人も少なくなかった。 p.13 「芝浜」

 

 

名の通った老舗料亭や鮮魚屋から先に仕入れ日本橋よりも、芝浜市場のほうが、担ぎ売りながら、優れた魚の目利きである勝治郎にとっては、都合が良かったのですね。

 

このように、落語の背景にある情報をいろいろと補足してくれるので、理解が深まる部分が数多くあります。

 

そして山本一力の小説の魅力といえば、情景描写ですよね。

 

時間を間違えて、夜明け前に芝浜に来てしまった勝治郎は、浜で夜が明ける様子を見ています。かつて桂三木助(三代目)は、こんなふうに夜明けの空を表現しました。

 

「いやー、いい色だなあ。よく空色ってえと青い色のことをいうけれど、いや朝のこの日の出の時には空色ったって一色だけじゃねえや。五色の色だ。小判みてえな色をしているところがあると思うと、白っぽいところがあり、青っぽいところがあり、どす黒いところがあり……」

 

山本版「芝浜」では、こんな描写になります。

 

夜と朝とが入れ替わるとき、海と空は互いに色味を取り替えた。

暗かった空は海の蒼さをもらい、代わりに藍よりも深かった青を海面に下げ渡した。

東の彼方から昇る朝日は空と海のやり取りを了としたかのように、橙色に輝く光の帯を夜明けの海に流した。       p.17「芝浜」

 

 

このように時代背景、補足情報、情景などがきめ細かく描かれているので、ある意味、勉強にもなり、味わいも深まります。

 

落語と小説の違いを味わってみるのも面白い

 

しかし、太助は、この落語小説集にある違和感を覚えました。

 

どの登場人物もとても立派なのです。芝浜の魚屋は仕事もしていない飲んだくれですが、仕事に対しては信念と力量を持っているとても立派な人間です。善人ばかり出てくる「井戸の茶碗」や希代の名優「中村仲蔵」はもちろん、普段堅物ながら隠れて芸者遊びをしている「百年目」の番頭も立派な人。宿代を踏み倒して、雀の絵を描いて去っていく「抜け雀」の絵師も優れた人物。

 

登場人物が全員、極めて立派なのです。「ダメに見えても、実は立派」という人物ばかりです。

 

落語は、酒・女・博打が大好きで、真面目に働かない、いわばダメ人間のオンパレード。しかし、それを良しとして、楽しみます。

 

また、この小説には、ウルっとくる泣けるようなシーンはたくさんありますが、「笑い」はまったくありません。

 

いわゆる落語的な世界を期待して読むと、違和感を覚えるかもしれません。

 

当たり前のことですが、この本は、「落語」ではなく、山本一力の「小説」なのです。

 

そこを踏まえたうえで読めば、名作落語の時代や情景などへの理解が深まるだけでなく、落語と小説の違いを味わえるという意味でも面白い本だと思います。

 

「落語小説集 芝浜」

(著者)山本一力

小学館

落語初心者に、寄席をお勧めしない4つの理由

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こんにちは、太助です。落語を実際に見たことがない人から、「何か見たいので教えてほしい」と言われることがあります。これは結構、悩みます。

 

というのは、最初の印象でつまらなく感じると、落語全体が「つまらないもの」に思えてしまうからです。海外旅行も同様ですね。その国で出会った人が親切であれば「なんて親切な国だろう」と思えますし、冷たくされると「あの国は、冷たい国だ」という印象が残ってしまいます。ファーストインプレッションは、やはり重要です。

 

落語初心者の方に寄席に行くことを勧める人がいますが、太助はお勧めしません。今回は、この理由についてお話しします。

 

とても長い上演時間

 

寄席は昼と夜、1日2回上演されます。この各回の上演時間は、4時間から4時間半にもなります。プログラムは落語だけでなく、漫才や紙切りなども入りますが、およそ12人~18人の演者が登場します。とにかく長時間で、たくさんの演者が出てくるのです。

 

寄席は基本的に出入り自由です。いつ入場しても、途中で帰っても構いません(噺の途中で帰るのは失礼ですが)。昼の部が4時間半のプログラムであっても、最初から最後まで聞き続ける必要はないのです。

 

プロの噺であっても、映画と同じで2時間くらいが集中力の限界です。しかし初めての方は、最初から最後まで、一生懸命に聞き続けてしまいます。結果、終演後にとんでもなく疲れてしまうのです。

 

つまらない落語家さんも多い

 

プロでも、失礼ながら、つまらない落語家さんはたくさんいます。寄席は通常、月3回のプログラムが組まれ、興行が行われます。10日間ずつ異なるチームが上演しているのですが、日によっては、メンバーの大半が面白くないときもあります。

 

また、開演して最初の時間帯は、前座や経験の少ない落語家さんが多く登場します。当然、技術レベルも低く、なかなか笑えません。

 

4時間もの長時間、面白くない落語家の噺を延々と聞き続ける、というケースもあるのです。このような席に遭遇してしまうと、「落語って面白くない」と思ってしまうでしょう。

 

落語家の持ち時間が少なく、小噺が多い

 

 

寄席は出演者が多いのが特徴です。これは寄席の数が減ってしまったことにも関係があります(東京には現在、4か所)。落語家の数に比べて、働ける場所が少なすぎるのです。そこで、1人の持ち時間を短くしても、なるべく多くの落語家を高座に上げる傾向があります。

 

このため、1人の落語家の持ち時間は少なく、通常15分程度。興行の最後に出てくる主任(トリとも呼ばれる)で20分程度です。太助も落語を始めて分かったのですが、15分だと長い噺は不可能です。このため、短い小噺(こばなし)が中心になります。小噺は登場人物が少なく、場面転換もあまりない短い落語です。

 

長い噺は、登場人物や場面転換も多く、聞きごたえがあります(落語家の技量が必要ですが)。小噺にもおもしろい落語は多いのですが、そればかりが続くと飽きてしまします。

 

また、落語は、マクラ(導入部の話し)と本編で構成されます。しかし、持ち時間が少ないため、マクラをカットしたり、マクラだけ話して下りてしまう落語家さんもいます。人気者が出てきたと思ったら、楽屋噺を軽くして終わり、というケースもあり、ガッカリします。

 

それほど真剣に聞いていない客も多い

 

ホール落語の場合、観客はお目当ての落語家の噺を聴くために、前売り券を買い、足を運んでいます。観客は、期待を抱き、「楽しもう・笑おう」という姿勢で会場に集まっています。

 

対して寄席の観客は色々です。お目当ての落語家を見に来る人もいますが、暇つぶしに来ている人や観光バスのツアーで来ている人など様々です。

 

寄席はそもそも「落語鑑賞の場」というより、暇つぶしの場所として始まっているので、それで構わないのですが、やはり落語家さんの緊張感や「やる気」には差があると思います。

 

残念ながら明らかに手を抜いている落語家や、寄席ではストーリーが複雑な噺は全くしない落語家さんもいます。

 

まずはホール落語でお気に入りの落語家さんを見つけよう

 

もちろん寄席には、寄席の良さがあります。「落語を聞く!」と身構えず、緊張感のあまりない、ぬるーい空気に浸ることで、のんびりとした時間を過ごすことができます。それは、とても良いストレス解消になるかもしれません。また、数多くの演者が出るので、新たにお気に入りの落語家さんを見つけられる可能性もあります。

 

ただ、落語初心者の場合は、まずホール落語でお気に入りの落語家さんを何人か見つけて、その落語家さんの出る寄席のプログラムに行くかたちで、寄席デビューするのが間違いないと思います。

 

太助も「お勧め落語会」の記事をアップしているので、ぜひ参考にしてくださいね!

太助セレクト落語 見逃したくない!11月のお勧め落語会(1)

こんにちは、太助です。2017年11月上旬の、太助お勧めの落語会をピックアップしました。ぜひ、参考にしてください! 10月、11月は独演会も増えてくる季節です。涼しくなって、じっくりと落語を楽しめる季節なんですねえ。

 

秋の恒例 柳家さん喬一門会

日時:11月4日(土) 開演:13:00、18:00

料金:4,000円他

出演柳家さん喬一門総出演

場所:よみうり大手町ホール

問い合わせ

⇒恒例の柳家さん喬一門総出演による一門落語会。今回はさん喬師匠、芸道50年の企画で、昼の部は大座談会と落語会、夜の部は真打による落語会です。

 

 

談修イン ザ ダーク5

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日時:11月6日(月)、開演:19:00

料金:前売り 2,500円、当日 2,800円

出演:立川談修

演目

「身投げ屋」

「応挙の幽霊」

「怛巳の女」

場所日本橋社会教育会館(人形町

問い合わせ:03-3220-0124

⇒端正で品のある落語家といえば立川談修師匠。落語が持つ影の部分をテーマにした人気の落語会です。第5回となる今回は、「応挙の幽霊」や「怛巳の女」など、珍しい噺を存分に楽しめます。

 

BXホール落語会「古今亭菊之丞三遊亭兼好二人会」

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日時:11月7日(火)、開演:18:30

料金:3,000円

出演古今亭菊之丞三遊亭兼好

場所:文化シャッターBXホール

問い合わせ:050-3497-5500

⇒テンポ良く、しっかりと噺を聞かせてくれる古今亭菊之丞師匠、明るくたたみかける三遊亭兼好師匠。あなたは、どちらにハマるかな?

 

ぎやまん寄席「三遊亭白鳥ひとり会」

日時:11月10日(金)、開演:18:45

料金:3,200円

出演三遊亭白鳥

場所湯島天神参集殿

問い合わせ:090-5785-3369

⇒とにかく明るくて、元気がもらえる白鳥師匠。湯島神社で一人会ですよ!

 

よこはま文菊開花亭

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日時:11月10日(金)、開演:19:00

料金:3,100円

出演古今亭文菊、春風亭一蔵

演目:「二番煎じ」「居残り佐平治」

場所横浜にぎわい座

問い合わせ:045-231-2515

⇒頭をクリクリにしているけれど、どこか色気のある文菊師匠。精力的に一人会などを開催しています。

 

宝くじ1等・7億円に当ったら、あなたは最初に何をしますか? 使う? それとも隠す?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。宝くじの販売額が毎年減少していて、2016年は18年ぶりに9,000億円を割り込んだというニュースが報じられました。宝くじの販売額は、2005年をピークに10年以上、減少傾向が続いているそうです。

 

なぜ宝くじの話しを始めたかというと、テレビで「ドリームジャンボ宝くじ」のCMが流れていて、それが妙に印象に残ったからです。

 

1等7億円が当たったら、あなたは何を買う?

 

タイムスリップしてきた侍・役所広司が、食べていくために、夏祭りの屋台で綿あめを売っています。通りかかった知り合いの女の子たち(島崎遥香鈴木奈々)が、一生懸命、綿あめを作っている侍に、「(宝くじ)当たったら7億円だよ。どうする?」と尋ねます。

 

侍が力強く「スマホを買う!」と言うと、女の子たちは思わず「小さ!」と呟きます。その言葉に侍が驚き、CMは終わります。ソフトバンクの「白戸家」やauの「三太郎」と同じ、奇抜な設定で、ストーリー性のあるというタイプのCMですね。

 

7億円の宝くじが当たっても、買いたいものがスマホというギャップに、妙なリアリティを感じました。宝くじの販売額が減少している要因として、賞金額が上がっていないことが挙げられています。しかし、「7億円当たっても、特に買いたいものがない」というのが、実は要因としてありそうです

 

近年、若い人たちは、どんどん質実(飾り気がなく、質素でまじめ)になっています。見栄を張るためにお金をつかわなくなりました。バブル期の頃は、高級車やスーパーカーに乗ることがもてはやされました。しかし今は、そのような車より、ワンボックスタイプの軽自動車のほうが人気があります。

 

1等・当選確率が1千万分の1という宝くじを5,000円買うくらいなら、その5,000円をもっと堅実なことに使おうという人が増えているのでしょう。

 

宝くじを扱った落語は、当選した人たちのドタバタを描く

 

落語にも宝くじを扱った噺が色々あります。昔は、富くじと呼ばれ、寺社の財政を潤すために販売されました。

 

富くじは、番号を書いた紙の札(富札)を市中で販売し、同じ番号の木札を作って大きな箱の中に入れ、錐(きり)のようなもので、その木札を突いて当選番号を決めました。当たりの最高額は、百両から数百万両だった、といわれます。江戸時代の物価は、例えば米一石(150キロ)が二両前後と考えると、驚くほどの高額な当選金額であることが分かります。

 

富くじを扱った落語を紹介しましょう。

 

宿屋の富

 

ほとんど金もないのに宿屋に長逗留している貧乏な客。怪しまれないために「自分は大金持ちの商人で、金がありすぎて、逆に自由が利かない。そこで、わざとみすぼらしい身なりで、汚い宿に泊まったのだ」と大ぼらを吹いている。すると宿の主人に「内職で富くじを売っているので、ぜひ買ってくれ」と頼まれる。結局、なけなしの金で富くじを買うはめに。ところが、この富くじが大当たりして……。

 

 

富久(とみきゅう)

 

腕は一流だが、酒でしくじってばかりいる幇間(たいこもち)の久蔵が、なけなしの金で富くじの札を買う。当たったら幇間を辞めて、堅気の商売をしたいと思っているのだ。その夜のこと。大事な旦那が住んでいる芝のあたりで大火事が起きる。慌てて駆けつける久蔵。一生懸命に働いて鎮火し、酒を飲んで寝込んでいると、今度は自分の家が火事になり、何もかも無くしてしまう。その後、買った富くじが、一番の千両に当選していることが分かるのだが、富札は火事で焼けて、無くなってしまっている。久蔵が呆然として街をさまよっていると……。

 

名作と呼ばれる落語です。ジェットコースターのように上がったり、下がったりする久蔵の心理が聴きどころ。八代目・桂文楽、五代目・古今亭志ん生古今亭志ん朝立川談志など、名人が、それぞれの世界を作り上げています。

 

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水屋の富

 

水道が普及していなかった場所では、水を天秤担いで売り歩く「水屋」という商売があった。重いし、休むことのできない厳しい商売。主人公の水屋さんは、金が溜まったら、いつかは商売を替えたいと思っている。そんなある日、富くじを買ったところ、これが大当たり。突然、大金を手にするのだが、生真面目な水屋さんは、仕事を休むことができない。仕方なく、床下に大金を隠すのだが、これを泥棒に目をつけられて……。

 

宝くじを扱った落語は、どの噺も、思いもかけぬ大金が当たってしまい、右往左往する人間の様を、面白おかしく、少し哀愁を込めて描き上げます。

 

そこで笑っているあなた。あなたは、思いがけず1等7億円が当たったら、まずどうしますか? パアッーとつかいますか? それとも水屋さんのように、誰にも知られないように、こっそり隠しますか?

 

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落語会で迷惑な観客ワースト5! 騒がしい客、携帯を鳴らす客、1位は?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。様々な落語会を見に行くと、はっきり言って迷惑な観客がいます。寄席の場合は、飲食自由であり、席を離れるのも自由。のんびりとした時間を過ごす場所でもあるので、マナーの面では、比較的、寛容です。

 

しかし、ホール落語の場合、観客はお目当ての落語家や演目を楽しみに来場しています。噺に集中して楽しみたいにも関わらず、落語会をぶち壊しにするマナー違反の観客がいます。自戒の念を込めて、ピックアップしてみたいと思います。

 

ワースト5:べちゃくちゃと騒がしい客

 

複数で来ている中高年の女性に多いのですが、噺の途中にべちゃくちゃと喋る客。これは本当に迷惑。『壺算』という道具屋を騙す噺の途中、「あの道具屋さん、また次も騙されるわよ、ほら、ほら! 騙された!」と大声で、友達と喋っていたおばちゃん。落語は、観客それぞれが、想像を巡らしながら、ストーリー展開を楽しむものなのです。あなたのお喋りが、どれだけみんなの迷惑になっていることか。気づいてくださいね。

 

ワースト4:噺のストーリーを説明しだす客

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カップルで来ている男性客や落語マニアに多いのですが、噺が始まると題名とあらすじを話し出す客。これは迷惑。「自分は落語に詳しんだ」ということをアピールしたいのでしょうが、それは落語会が終わってから、思う存分、やってください。映画と同じで、ストーリー展開の楽しみをぶち壊しにしているのです。気づいてくださいね。

 

ワースト3:笑わない客

 

評論家、記者、落語マニアに多いのですが、最前列に座り、ノートを広げ、ニコリともせずに聞いている人たち。落語家さんに聞いても、こういう人たちは困るとおっしゃいます。場内の雰囲気は、落語家と共に、観客も一緒に作り上げるものです。みんながニコニコして、温かい雰囲気になっていれば、笑いも起こりやすくなり、場内は明るくなっていきます。そうなると落語家さんもエンジンがかかり、のってきます。より楽しい空間が造られていきます。

 

数多くの落語を観ると、ほとんど落語のストーリーは覚えてしまい、好きな落語家の基準もできてしまうので、あまり笑えなくなるのは仕方ないことです。しかし、最前列の目立つところに座るのを避けるという配慮があってもよいはず。繰り返しますが、場内の空気は、観客も一緒に作るものなんです。

 

ワースト2:噺の途中で携帯電話を鳴らす客

 

間違いなく中高年の方です。映画館やコンサートホールなど、至るところで「携帯電話の電源はお切りください」と、これだけ注意されているにも関わらず、いまだに落語会で携帯電話を鳴らす人は絶えません。

 

観客の集中力が途切れてしまうだけではありません。落語家さんは、自分なりのリズムとメロディーで語り、世界を作り上げているのです。それが携帯の呼び出し音で途切れてしまうのです。

 

「年をとっているので、うっかりした」とか「機械に弱いから」などの言い訳はお止めなさい。それは最低限のマナーですよ。

 

ワースト1:臭い客

 

中高年の方に多いのですが、明らかにしばらく風呂に入っておらず、加齢臭や体臭が強烈に匂う方がいます。これは本当に迷惑。

 

太助は一度、ある会場で強烈な体臭のおじさんに、隣り合わせたことがあります。マスクをしてハンカチで鼻をふさぎ、顔をそむけていたのですが、全く効果なし。強烈なアンモニア臭をかぐと涙が出てくることがありますが、まさにアレで、涙が出てきました。おじさんは嬉しそうに掛け声をかけたりして落語を楽しんでいましたが、私は落語にまったく集中できず、まさに涙、涙でした。

 

「年取ると汗をかかないから」「外に出ないから汚れない」とか言ってる方。人間は生きている限り、皮膚などが新陳代謝で老廃物になり、垢になるんですよ。

 

あ、それから息のにおいにも気をつけて。大声で笑うのは構わないけれど、とっても匂う方がいるのです。

 

あーだ、こーだ言ってすみません。でも、一緒に楽しく笑いたいじゃないですか。心当たりのある方、お気をつけて!

太助セレクト落語 見逃したくない!10月のお勧め落語会(2)

こんにちは、太助です。2017年10月中旬から下旬の、太助お勧めの落語会をピックアップしました。ぜひ、参考にしてください! 秋から冬にかけては、熱燗や暖かい蕎麦・うどんなどの、ほっこりした噺が聞ける季節です。この時期の落語もいいですよ~。

 

東京落語会

日時:10月13日(金) 開演:18:00

料金:2,470円

出演: 

柳家花緑時そば

春風亭昇太「権助魚」

柳家権太楼「質屋庫」

三遊亭小遊三「らくだ」

柳亭市馬「八五郎出世」

場所:ニッショーホール(虎ノ門

問い合せ:03-3464-1124

⇒このメンバーで、この価格。東京落語会の記念すべき第700回公演。落語協会の重鎮・市馬、権太郎師匠と笑点メンバーの実力を比べてみるのも一興かも。

 

大手町落語会

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日時:10月14日(土) 開演:13:00

料金:4,000円

出演柳家権太郎、柳家さん喬柳亭市馬三遊亭兼好、春風亭一蔵

場所:大手町日経ホール

問い合せ:03-5216-9235

⇒大手町落語会は柳家権太郎、柳家さん喬師匠が常連。寄席の爆笑王・権太郎師匠。あなたははまるかな、それとも?

 

祝・柳亭こみち真打昇進記念

日時:10月25日(水) 開演:18:30

料金:3.200円

出演:柳亭こみち、柳家さん喬古今亭菊之丞

場所:亀有文化センター

問い合せ:03-6240-1052

⇒女流落語家である柳亭こみちさんの真打昇進興行です。落語は大半が、男性が主役の噺。女性が演じるには苦労が多いのですが、こみちさんは、持ち前の明るさと威勢の良さで、独自の芸風を確立しています。真打昇進興行はお祝い興行なので、みんな乗りまくって楽しいですよ。

 

みなと毎月落語会「談笑、三三二人会」

日時:10月26日(木) 開演:18:30

料金:3,500円

出演立川談笑柳家三三

場所赤坂区民センター

問い合せ:03-5483-0085

古典落語の名手・柳家三三師匠と古典を改作して新しい世界を創る立川談笑師匠の激突。どんな化学反応が起こるか期待大です。

 

関内寄席「柳家小三治柳家三三親子会」

日時:10月29日(日) 開演:14:00

料金:3,600円

出演柳家小三治柳家三三

場所関内ホール

問い合せ:045-662-1221

⇒名人・小三治師匠の高座に、まだ間に合う! 師匠が元気なうちに、少しでも多くの高座を見ておきたいものです。

 

落語業界の不思議な人材採用・育成

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こんにちは、太助です。落語業界を知れば知るほど、不思議な世界だなあ、と思うことが色々あります。この不思議の一つに、落語業界の人材採用・育成があります。

 

人材募集をしない落語業界

 

「落語家求む! 日給5千円。休日・月4日。経験不問、やる気と体力を重視」

 

このような募集広告を目にすることはありません。落語家になるには、プロの落語家に弟子入りするしか方法がないからです。「この人に弟子入りしたい!」と決めたら、その落語家さんの自宅を訪問するか、劇場の楽屋口で待ち構えるなどして、弟子入りを直訴します。

 

すると大抵の場合、「日を改めて、話しを聞きましょう」ということになり、指定された期日・場所で初めてお話ができます。ここで、落語家になりたいという熱い想いを述べるわけですが、ほとんどの場合、「食べていくことができないから、落語家を目指すのはお止めなさい」と言われるようです。ここで断られるケースもありますが、「ある程度の期間をおいて、親の同意を得たうえで、親と一緒に改めて来るように」と言われる場合もあります。

 

ある程度の期間は、様々です。冷却期間を置き、親の意見も聞かせ、もう一度、客観的に「この選択でよいのか、続けていけるのか」などを考えさせるのですね。

 

こうして晴れて入門がかなうと、

 

見習い⇒前座⇒二つ目⇒真打

 

という落語家のステップを、一歩ずつ進んでいくことになります。入門してから真打になるまでは、団体や個人によって差はありますが、およそ12年から15年程度かかるようです。

 

弟子入りして、見習い、前座の期間は、師匠の付き人のようなかたちで、さまざまな用事をこなしながら、落語を教えていただきます。寄席に出演する団体の場合は、毎日、寄席に通い、楽屋仕事をこなします。

 

なぜ、落語業界は人材を発掘しないのか?

 

落語業界の人材採用で不思議なのは、まず「募集しない」ということです。ビジネスの世界では、中小問わず、すべての会社は、「優秀な人材に来てほしい」と思っています。多額の費用を使って、人材採用している企業も数多くあります。なぜなら、優秀な人材が来れば、会社は強くなるからです。「人は柱」という考え方ですね。

 

野球でも、相撲でも、優れた人材には中高生の段階から目を付け、スカウトします。逸材には、いくつもの球団や相撲部屋が競合する、というニュースもよく耳にします。

 

ところが、落語業界でこのような話しを聞いたことがありません。

 

現在、落語業界で人気・実力ともにトップクラスの柳家喬太郎師匠は、大学の落語研究会時代から「怪物」と呼ばれる逸材だったそうですが、東京の落語団体で争奪戦になった、というニュースは流れませんでした。

 

素人目には、いい人材を求めるというより、むしろ、「いい人材には来てほしくない」という感じにすら見えます。東京には550名前後の落語家さんがいますが、この人数に比べて、出演できる寄席やホールの数は限られています。逸材が来て、自分の出演場所を取られるくらいなら、来なくてもよいと考える人がいても不思議ではありません。

 

師匠にとって弟子を取り、育てることのメリットは?

 

見習いから前座になると落語業界に足を踏み入れることになるのですが、落語家としての育成は基本的に、師匠である落語家個人に一任されます。弟子入りした師匠の教えや考え方が絶対的な基準となります。師匠が白と言えば白、黒と言えば黒、という世界なのです。

 

例えば、立川談春師匠の自伝的エッセイ『赤めだか』では、師である立川談志に「修行のために築地の市場で働いてこい」と言われ、1年以上、市場で働いた経験が書かれています。「落語家の修行と市場で働くことに、何の関係があるか?」という疑問を挟む余地はないのです。

 

前座が師匠に付いて学ぶことを、以下のように語る落語家さんもいます。

 

師弟関係の目的は、徹底的に気を遣い、相手と同化する経験を身を以って体感するということにあると思ってます。

『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか?』 立川志の春

 

 

徹底的に自分を無にして、師匠と同化し、師匠の考えることや望むことを先回りして察知できるようにする。こういう訓練を積むことで、お客様が望むことを高座から瞬時に察知できるようにする、という考え方・指導なのですね。

 

では、教えるほうの師匠である落語家さんには、弟子を取ることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

これが、経済的なメリットは、ほぼ皆無なのです。相撲部屋の場合は、所属力士人数分の部屋維持費や稽古場維持費、力士養成費などが支給されます。しかし、落語業界の場合、団体から育成費が支払われることはありません。前座に与える小遣いを含めて、すべて師匠である落語家の持ち出しです。

 

「弟子を取ることのメリットはゼロです。損ばっかりです」と、テレビで春風亭昇太師匠が言っていましたが、その通りなのでしょう。高名な落語家さんでも、弟子を全く取らない方もいます。

 

では、メリットもないのに、なぜ弟子を取るのでしょうか?

 

落語は基本的に口伝えの芸能です。師匠の話すことを弟子が聞き覚え、長い期間に渡り、伝えてきたものです。落語を次の世代に伝えるには、誰かが口承でつないでいくしかないのです。

 

ほとんどメリットがなくても、落語を伝えるという大きな義務感があるから、育成を引き受けるのでしょう。

 

人材採用も育成メソッドも基本的に個人任せの落語業界。落語は、究極的には「個」の才能に依存するものだから、それで良いのでしょうか。

 

不思議で、実に興味深い世界なのです。

 

(関連記事)

osamuya-tasuke.hatenablog.com

 

赤めだか

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立川談春(著)

扶桑社

立川こしら、桂宮治:あなたはハマるか、さめるか?

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こんにちは、太助です。8月が終わったと思ったら、予想に反して涼しい日が続いています。

 

少し雨模様の9月5日、お江戸日本橋亭で開催された「こしらと宮治4」に行ってきました。

 

日本橋のコレドで、ちょっと腹ごなし

 

会場は日本橋三越から歩いて約5分の便利な場所。そこで、コレド室町の「墨之栄(すみのえ)」で、腹ごしらえにちょいと一杯。ここは、オシャレなコレドの中では、ちょっと雰囲気の違う居酒屋。店には木製の魚箱(トロ箱)が積み上げてあり、いい感じ。

 

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このお店は、新鮮な魚と種類の豊富な地酒(この店限定の酒もあり)が特徴。刺身や焼き魚はもちろん、「カニ味噌乗せフランスパン」や「サバの燻製サラダ」など日本酒に合うおつまみが数多く揃っています。人気店なので、夜7時ごろには仕事帰りの人で大賑わいに。「山和」という宮城のお酒がうまかったです!

 

いま、日本中のデパートは、仕事帰りの人をつかまえようと四苦八苦しています。だったら、このくらいベタにやんなきゃ。カッコばかりつけてないで!

 

すっかり腹も満たされ会場へ。さすが人気の落語家さん。平日にも関わらず、開場前から30名以上の方が並んでいます。開演時までには、収容人数、百名程度の会場は満員に。

 

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この日は、桂宮治さんが、長いマクラのあと「片棒」。立川こしら師匠が長い、長いマクラのあと「風呂敷」。桂宮治さんの特徴は、とにかく明るくて、声も大きく、エネルギッシュなこと。こしら師匠の特徴は、落語業界のしきたりや作法、団体の違い、落語の所作・決めごとなど、「俺は知らないし、気にしてないぜ」的な斜に構えたポーズでしょう。

 

「これでもか」というくらいの客いじりと裏話

 

そして2人の共通点は、「業界や落語家の裏話・陰口」「しつような客いじり」「下ネタ」。こう書くと、何だか陰湿な感じがありますが、2人とも陽気にカラッと語るので、あまり気になりません。

 

しかし、この日は、「これSNSに書いちゃダメだよ」を何回、聞いたことか……(書いてほしいのね)。

 

落語の後の二人の漫談でも、しつような客いじりは続きます。こしら師匠が「ここにいる女性は、みんな俺の女だぁ!」と言うと、ドッと大受けします。綾小路 きみまろの公演と同じで、「いじってもらうのが嬉しくてたまらない」という固定ファンも多いようです。本当に皆さん、楽しそうに笑っています。

 

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このような客いじりや楽屋話などは、はっきり言って好き嫌いがあると思います。はまる人は、はまるし、嫌いな人は一度でイヤになるでしょう。

 

ただ1つ言えることは、この二人の落語家さんは、「何がなんでも笑わせてやる。どんな手を使っても大笑いさせる」という、強い意志と気迫を感じさせてくれます。そこは、本物のプロだと思いました。

夏休みの自由研究・悲しき思い出

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こんにちは、太助です。スマホで売買ができるフリマアプリ「メルカリ」で、夏休みの読書感想文が販売されていることがニュースになりました。

 

覗いてみると、なるほど色々な感想文の原稿が売られています。芥川龍之介羅生門」「地獄変」、夏目漱石夢十夜」、宮沢賢治銀河鉄道の夜」などなど。価格は500円から1,000円程度で、結構売れているので、やはり需要があるのでしょう。

 

教師から見ると、他人が書いた感想文は分かるそうです。しかし、夏休みが終わる直前の切羽詰まった状況では、まず宿題を提出することが最優先。買ってしまう子もいるはずです。確かに、芥川龍之介羅生門」や夏目漱石夢十夜」などは、読み終えたところで、「だから何?」という感想しか浮かばないかもしれません。

 

自由研究は、貝がらや昆虫採集などが売られています。それらを見ていて、遠い昔の、夏休みの自由研究の思い出がよみがえってきました。

 

締めきり数日前に思いついた工作は

 

小学4年生の夏休み。始業式まで、あと数日しかない状況で、自由研究がまったく手つかずの状態。親と一緒に考え始めたのですが、うまい知恵が浮かびません。

 

と、テレビで「ゴキブリホイホイ」のCMが流れてきたのです。紙の箱で出来ていて、中の餌でゴキブリをおびき寄せ、入ると出られないというアレです。

 

それを見て母が言ったのです。「ゴキブリホイホイを作ったらどうかしら。ちょうど透明なアクリルの箱があるし!」

 

他に良い知恵も浮かばないので、その案に決定。4か所に入口と通路を作り、中央に餌を置く。入口には、内側にしか開かないようにアルミ板を取り付ける。下の図のようなものを作りました(図は、上から見た感じです)。

 

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 苦肉の作、自家製ゴキブリホイホイ

 

父が材料を買ってきて、父が作りました。手先が器用な父は、結構張りきって作り上げ、かなり立派なものができました。私はかたちだけ、入り口用のアルミ板を切りました。さっそくその日の晩、仕掛けてみることに。

 

適当に作った工作が、悲惨なことに

 

翌朝のことです。うちが古い家だったせいもあるのでしょう。……採れていたのです。たっぷりと。

 

その時点で初めて、この自家製ゴキブリホイホイの構造的欠陥が分かりました。ゴキブリが生きていて動きまわっているのです。しかも透明なので、はっきりと見える……。売られているものは、紙製でそのままゴミ箱に捨てられるのですが、うちのは捕獲したゴキブリをどうにかしなければならないのです。

 

母親は気味悪がって触ろうともしないので、結局、太助が近所の公園に捨てに行くことに。

 

公園の茂みで、そっと蓋を開けたところ、ゴキブリ達はすごい勢いで逃げ出していきました。私は、あまりの気持ち悪さに、箱を放り出しました。入口に付けたアルミ板が、逆さにすると落ちてしまうことに、その時、気付きましたが、「もう、どうでもいいや」と思いました。

 

夏休み明けに提出したところ、なぜかクラスで金賞を獲得しました。父が作ったものなので、見た目は立派だったのです。授業参観では、金色の紙が張られ、展示されました。

 

夏休みの宿題というと、適当に作った工作の数々と、書き散らかした、いい加減な感想文の思い出が、懐かしくもほろ苦く、よみがえってきます。

 

みなさんは、いかがですか? あの頃、宿題は順調に終えられましたか?