落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

噺家の魂が震えた名人芸の第1位は!? なんと!

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。噺家の魂が震えた名人芸落語案内』(著者・噺家三十人衆、解説・六代目三遊亭円楽)という本を読みました。これは、円楽師がプロデュースする落語祭の出演者・30名に「自分が一番好きな落語」についてアンケートをとり、選ばれた落語について解説したものです。

 

アンケートに回答している落語家は、瀧川鯉昇桂雀々五街道雲助三遊亭兼好林家たい平立川談笑柳家花緑春風亭一之輔など、団体、東西、年齢を問わないメンバーで構成されています。

 

噺家の魂が震えた名人芸の第1位は!?

 

アンケートの集計結果のベスト3は、以下の落語でした。

 

1位:らくだ笑福亭松鶴金原亭馬生 ほか)

2位:鼠穴立川談志三遊亭圓生

3位:猫の災難、百年目(同数票)

 

以下、「火焔太鼓」「掛取り」「笠碁」「金明竹」「芝浜」「中村仲蔵」「野晒し」「花見の仇討」など、52演目が選ばれています。

 

1位が「らくだ」という結果には、驚きました。というのは、「らくだ」は、とても陰鬱で、はっきり言って楽しくない落語だからです。

 

(あらすじ)町内で嫌われている乱暴者・通称「らくだ」が、フグにあたって死んだ。たまたま尋ねた兄貴分が、死骸を前に葬式をどうするか困っていると、そこへ屑屋が通りかかる。呼び止められた屑屋は、こわもての兄貴分に脅かされながら、長屋の住人から、香典や酒、棺桶代わりの樽などを集め回るはめに。酒を出し渋る大家には、らくだの死骸を担いでいき、死体で「かんかんのう」という踊りを見せつけるなど、とんでもない脅し方で集めていく。

 

こうして香典や酒を揃えた屑屋は、兄貴分から酒を勧められ、渋々飲み始めるが、酔うほどに人格が変わっていく。しだいに形勢が逆転し、兄貴分に命令するほどに。二人は、らくだの頭を剃り、樽に詰め、担いで焼き場に向かうのだが、途中で樽の底が抜け、死骸を落としてしまう……。

 

自分の人生で出会った、良い演者の良い高座の記憶

 

解説をしている円楽師も、1位「らくだ」という結果には首をひねったようで、こう分析しています。

 

その演者のその噺を聞いた噺家が、ちょうど行き会った、そのタイミングが重要だと思います。(中略)演者がその全人生の中で、良い演者の良い高座に当たったとしか、分析のしようがない。(p.24)

 

落語家は、持ちネタを演じていても、出来のいいときもあれば、悪いときもある。その出来が最高レベルの瞬間に立ち会えた記憶が、「自分の人生で、行き会った名演」として印象に残っているのではないか、と語っています。なるほど……。

 

アンケートには、「この師匠の、この噺を聞いて、落語家になる決心をした」という回答もあります。落語家さんには、人生を決定づける噺があるのですね。

 

円楽師は、それ以外にも、選ばれた噺を、自分がいつか「演りたい噺」、「演者の個性の魅力」などに分類しています。「らくだ」のような暗くて長い噺も、逆に、いつか演じてみたいと思う落語家さんが多いのかもしれません。

 

三十人の落語家さんのアンケートを読んでいると、「なるほど、この人は、ここが原点なのか」とか「この落語家さんに傾倒していたのか」など、色々な発見がありました。そういう点では、とても興味深い本でした。

 

しかし、円楽師の自慢、自画自賛の多いこと、多いこと。「自分はこの師匠に可愛がられていた」「この落語のサゲ(落ち)は、自分はこんな風に工夫して変えている」「この噺は、(選ばれた師匠より)自分の師匠のほうがいい」「この噺は、誰それに教えてあげた」……。自分で自分の噺を選んでいるのも、この師匠だけ。

 

「(サゲを工夫して、変えて、カッコよくなったけれど)誰も教えてくれとは言わない……」(p.34)。きっと、「あのサゲは俺が教えてやったと」と、一生言われるからじゃないでしょうか(笑)。

 

噺家の魂が震えた名人芸落語案内』

著者・噺家三十人衆、解説・六代目三遊亭円楽

竹書房新書

 

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