落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

第33回ふなばし市民寄席:喬太郎、一之輔、白酒

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2018年1月30日、第33回「ふなばし市民寄席」に行ってきました。場所は船橋駅から歩いて7~8分のところにある船橋市民文化ホール。この落語会は、市民文化ホールの主催イベントです。各地には、地域にしっかりと根付いて、固定ファンを持ち、長年継続している落語会があります。ふなばし市民寄席も、毎回、チケットを入手するのが困難な、とても人気ある落語会です。

 

その人気の要因の1つは、何と言っても、毎回の豪華な出演者です。今回は、柳家喬太郎春風亭一之輔桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)という、当代きっての人気落語家の3人会。満員の会場で、期待も高まります。

 

粗忽噺のお手本のような白酒の高座

 

前座に続いて、高座に上がったのは桃月庵白酒師匠。マクラでは、船橋駅前の「きららホール」と間違えて行ってしまったというエピソードで笑わせて、そこから粗忽者が主人公の噺「松曳き(まつひき)」に。

 

「松曳き」は、粗忽者(うっかり者)の殿様と家老の三太夫が主人公。屋敷の庭にある松を植え替えてよいかどうかを話している。二人とも、とんでもない粗忽者なので、固有名詞は出てこないし、会話がトンチンカン。植木屋を呼んで意見を聞くのだが、植木屋もおかしな敬語を使うので、ますます会話は混乱していく。そこに三太夫宛てに訃報が届くのだが……。

 

うっかり者が主人公の粗忽噺(そこつばなし)と呼ばれる落語です。このジャンルでは、「粗忽の釘」「粗忽の使者」「粗忽長屋」など、楽しい噺がいろいろあります。粗忽噺に出てくるうっかり者は、ちょっと常識からかけ離れたような人物たちです。松曳きの家老・三太夫も、屋敷の中を移動するのに「馬を引け」と言ったり、裃(かみしも)を着ているのに用意させようとしたりと、常軌を外れた粗忽者です。

 

粗忽噺は、実際に演じてみると、かなり難しいのです。並外れた粗忽者を、わざとらしくなく、自然に演じるには高い技量が必要です。「松曳き」は、白酒師の得意噺でもあり、二人の粗忽者で大笑いさせてくれました。

 

現代ギャグをふんだんに放り込んだ一之輔版「味噌蔵」

 

千葉県野田市出身の春風亭一之輔師匠は、東武野田線が「東武アーバンパークライン」に改名されたという地元ネタで笑わせておいて、演じたのは「味噌蔵」。

 

とてつもなくケチな味噌屋の主人。女房が妊娠しても、お金がかかるからと実家に帰してしまう。出産の知らせが届いたので、主人は実家へ泊りで出かけることに。奉公人たちは、またとないチャンスとばかりに、飲んで食べて、うっぷん晴らしを始める。奉公人たちが大騒ぎしているところに、泊まりの予定だった主人が帰ってきてしまう……。

 

一之輔師匠は、番頭が奉公人たちに食べたいものを聞くシーンに、ふんだんにギャグを入れ込んでいました。何しろ普段から、あまりに貧しい食生活なので、「食べたいもの」が惨めなものばかり。「アメリカンドッグを食べたあとの棒に付いたカリカリしたやつ」とか、わびしいものを連発し、笑いを取っていました。

 

マクラでも夢をネタにした喬太郎版「夢の酒」

 

トリは柳家喬太郎師匠。マクラは池袋の怪しいビデオ屋に自分が迷い込むという夢の話し。このマクラが結構長く、1つの噺になっています。そこから「夢の酒」へ。

 

「夢の酒」は、うたた寝をしている若旦那を、妻のお花が起こすシーンから始まります。起こされて機嫌が悪い若旦那。その理由を尋ねると、夢を見ていたのだという。夢の中で若旦那は、突然の雨に降られて、軒の深く出ている家で雨宿りをしている。すると、その家から出てきたのは、飛び切りの美人。嬉しそうに夢の話しをする若旦那と対照的に、妻のお花は、どんどん不機嫌になっていく……。

 

マクラも夢の噺で笑いを取り、本編「夢の酒」も夢がテーマ。2席聞いたような満足感がありました。

 

最高の演者と最低の観客

 

人気、実力ともに当代きっての3人ですから、それぞれ非常に高いレベルであり、内容的には、満足できる落語会でした。

 

ただ……。私の後ろに座っているオバさんが、とてつもない声を出して笑うのです。加えて、落語家が何か言うたびに、オウム返しのように同じことを大声で繰り返す。とにかくうるさくて、うるさくて、途中からまったく噺に集中できなくなりました。

 

落語会なのですから、笑うのは結構なことです。しかし、大勢の人と一緒に聴いているのですから、少しは配慮が必要ですよね。

 

というわけで、最高の演者と最低の観客に出会った船橋の落語会でした。

 

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