落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

落語のお勧め本「今夜も落語で眠りたい」

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こんにちは、太助です。毎日、暑い日が続きますね。「千両みかん」という落語を一生懸命、稽古しています。夏場に蜜柑などなかった江戸の頃。燃えるような炎天下、番頭さんが蜜柑を探して、江戸中を走り回る噺です。地球温暖化が進む今の東京と、冷房などなかった江戸時代。どちらが暑かったのでしょうか?

 

落語について少し深く知るためには、関連の書籍を読むことも大切だと思います。太助の落語お勧め本を、いろいろ紹介していきたいと思います。

 

今回紹介するのは、中野翠(なかの みどり)さんの『今夜も落語で眠りたい』です。コラムニストである中野さんは、テレビでたまたま見た古今亭志ん朝の「文七元結(ぶんしちもっとい)」に衝撃を受け、落語ファンになります。

 

その後、中野さんは、落語の名人のカセットテープを聞き込むことで、知識や理解を深めていきます。桂文楽古今亭志ん生古今亭志ん朝、柳屋小さん……。一日の終わりに落語のテープを聞いて眠るのが日課になった中野さんは、すっかり落語中毒者(ジャンキー)になっていきます。この本は、中野さんが聞いた名人の演目を、1つずつ紹介していくものです。

 

名人の名演の魅力を、ビギナーの観点で

 

この本の魅力は、何といっても名人による噺を大量に聞き込んで、その中から、お勧めの演目を紹介していることです。

 

桂文楽:「王子の幇間(たいこ)」「厩火事」「よかちょろ」「明烏」「酢豆腐

古今亭志ん生:「寝床」「犬の災難」「火炎太鼓」「黄金餅」「粗忽長屋」「唐茄子屋政談」

三遊亭円生:「彌次郎」「双蝶々」

古今亭志ん朝:「文七元結」「居残り佐平治」「雛鍔」「崇徳院」「三軒長屋」「三方一両損」「火事息子」

 

ほか、柳屋小さん、春風亭柳橋金原亭馬生春風亭柳昇など30演目が解説されています。落語の簡単なストーリー、演者の特徴、中野さんの解説と感想がコンパクトにまとめられていて、とても楽しいエッセイであり、落語ガイドブックにもなっています(その他、落語の登場人物を切り口に解説した章もあり)。

 

そのとき私は直感したのだ。「もしかして落語ってバカの豊かさを描いたものじゃないのかな」って。

 

p.13 古今亭志ん朝文七元結

 

 私も同感です。落語にはエリートは出てきません。会社の中でも外でも「競争」と「戦い」を繰り広げるビジネスの世界とは対極にある世界です。与太郎のような、バカが主人公の世界。しかし、その何と豊かなことか。

 

中野さんのこの本には、落語世界に対する温かなまなざしや愛情がたっぷりと詰まっています。寝る前に読むには、最高な1冊ですよ!

 

書名:今夜も落語で眠りたい

筆者中野翠

出版社文芸春秋

定価:750円+税