落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

「超入門!落語THE MOVIE」の魅力を考える

f:id:osamuya-tasuke:20170720174405j:plain 

 

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。田舎に住んでいると、夏は蚊に悩まされます。洗濯物を干すときなど、虫よけスプレーを使うのですが……。蚊ってヤツは、塗っていないところを探すのが実にうまいですよね。昨日、耳の裏側を刺されたときは、「耳なし芳一」という怪談を思い出しました。

 

さて、落語を聞き始めたばかりの方にお勧めしたいテレビ番組が、NHK総合の「超入門!落語THE MOVIE」です。今日は、この番組の魅力について考えてみます。

 

「超入門!落語THE MOVIE」は、落語の演目を映像化しているのですが、この番組のおもしろさは、落語家の喋りに合わせて、俳優がいわゆる「口パク」で登場人物を演じていることです。

 

番組の構成は、だいたい以下のような流れになっています。

 

1)番組ナビゲーター(濱田岳)の演目紹介

2)演目に関連する小噺的なドラマ(現代)

3)高座で、プロの落語家による口演

4)演目を映像化したドラマ

5)背景などに関する「解説コーナー」

 

30分弱の放送時間に、これだけの内容を詰め込むこと自体、「どれだけ贅沢なんだ!」という気がしますが、制作も大変な苦労を重ねているようですね。

 

「まず、師匠を呼んで落語の収録。早朝や深夜に都内の寄席を借り上げて、客席に人も入れて行います。そして、この音声を文字に起こし、俳優を決めてブッキングし稽古、そして撮影を進めていきます」

 

「役者さんは音声を繰り返し再生して練習します。演技はバッチリなのに音声と口が合っていなくて、テイク20くらい撮り直したときもあります。」

 

www.jprime.jp

 

落語の舞台が視覚化され、口跡のよい人気の落語家ぞろい

 

私が考えるこの番組の魅力は、以下となります。

 

1)落語の舞台、人物が視覚化される

 

落語の舞台となる長屋、茶店、奉行所などがビジュアル化されるので、江戸期の風俗に詳しくない人でも容易に落語の世界に入り込むことができます。私も「二番煎じ」という落語に出てくる番小屋は、「なるほど、この程度の広さなのだな」と勉強になりました。

 

2)口跡のよい人気の落語家ぞろい

 

発声やせりふ回し、声の質がよい演者を「口跡(こうせき)が良いね」などと言いますが、この番組に出てくる噺家は口跡のよい師匠がほとんど。その口調に合わせて、役者が口パクをするので、聞き取りやすい落語家でないと困るのですが。

 

柳家三三古今亭菊之丞柳亭市馬瀧川鯉昇春風亭一之輔など、実力と人気を兼ね備えた噺家が登場します。どの師匠もテンポが良くて、とても聞き取りやすいため、落語に知識のない人でも、すんなりとストーリーを理解することができるはずです。

 

3)けっこうマニアックな噺も取り上げられる

 

映像化するため、比較的、場面転換のある噺が取り上げられます。このためでしょうか、普段、あまり高座にかけられないような、「田能久」「不動坊」といっためずらしい噺も映像化されています。

 

作り手の落語に対する深い愛情を感じさせてくれる「超入門!落語THE MOVIE」。今後の期待は、廓話(くるわばなし)を、ぜひ手掛けていただきたいと思います。NHKという制約の中で難しいとは思いますが、昔の廓の情景や独特のしきたりなどは、噺だけでは想像力の限界がありますから。

 

落語初心者の方は、この番組で、長屋や登場人物の雰囲気を理解できたら、徐々に自分の想像力の中で落語の世界を繰り広げられるようになれば良いと思います。