落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

落語の登場人物:子供~父親を手玉にとるちゃっかり者

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語によく出てくる登場人物は、大体決まっています。長屋の八っつぁん、熊さん、ご隠居さん、おかみさんと子供、商家の大旦那、若旦那、番頭さん。廓噺(くるわばなし)の女郎や幇間。今回は、長屋噺での主要人物、子供について話します。

 

落語に登場する子供は、長屋暮らしの男の子です。名前は「金坊」「亀吉」。父親は職人で学がない。機転が利いて、弁舌たくみな子供が、父親からうまく小遣いをせしめたり、やりこめたりします。

 

元気な子供が登場する噺(はなし)なので、老若男女を問わず楽しめます。このため、寄席では必ずといってよいほど聞くことのできる落語です。短い噺のため、前座や二つ目さんが話すことが多いのですが、名人クラスの真打さんも寄席で高座にかけることがあります。

 

子供の登場する落語をいくつか紹介します。

 

真田小僧

 

父親に小遣いをせびる息子。どうしても貰えないと、母親から貰うからいいと言い出した。「俺がダメなものは、母ちゃんもダメだ」と言うと、「お父っつぁんのいないときに、いつも来るよそのおじさんのことを喋るって言うと、母ちゃんは絶対に小遣いくれる」と返す息子。父親は内心おだやかではない。聞き出そうとすると「話しを聞きたかったら小遣いをおくれ」と足元を見られて、次から次へと小遣いを巻き上げられてしまう……。

 

三遊亭金馬真田小僧

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初天神

 

新調した羽織を着て、初天神に出かけようとする熊さん。そこへ息子の金坊が帰ってきて、連れて行ってくれとせがむ。金坊は口が達者で「あれを買ってくれ、これを買ってくれ」とうるさいので、連れていくのをしぶる熊さん。「あれこれ買いたい」と言わない約束をして出かけたが、境内の屋台が見えてくると、何だかんだとせがみだす金坊。結局、熊さんは、根負けして色々買ってしまうのだが……。

 

柳家小三治初天神

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藪入り(やぶいり)

 

明治、大正の頃は、10歳くらいから商家に住み込み、小僧として奉公した。休みは年に2度の藪入りのときだけ。週休2日制が一般的になった現在とは大違い。しかも奉公を始めた3年は藪入りでも、実家に戻ることができなかったという。

 

明日は藪入りで、金坊が帰ってくる。父親はうれしくて、「帰ってきたらあれを食べさせてやろう、どこへ連れて行ってやろう」と興奮して眠れない。3年ぶりに帰って来た息子は、とてもしっかりしていて、両親は大喜び。しかし、分不相応な金を持っていたことで、「店の金に手を付けたのでは」と、父親は怒り出す……。

 

三遊亭円楽「藪入り」

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雛つば(ひなつば)

 

植木屋さんが武家屋敷で仕事をしていると、庭に幼い若様が出てきた。若様、庭に落ちていた穴のあいている四文銭を拾うと、付き人の三太夫に「これは何か?」と尋ねる。三太夫が「何だと思われますか?」と返すと、「お雛様の刀のつばではないか」と答える。不浄なものでございますから、お取り捨て願います」と言われると、若さまはポーンとほおり捨てて、行ってしまった。これを見た植木屋は、いつでも「銭をくれ」と言っている自分の息子とは、大きな違いだと感心し、うちへ帰って女房に話しをする。これを息子が聞いていて……。

 

古今亭志ん朝「雛つば」

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今回紹介した落語以外でも、「桃太郎」や名作「子別れ」など、子供が活躍する噺はいろいろあります。ぜひ、やんちゃな子供たちの落語を楽しんでみてください。

 

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