落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

落語入門:江戸時代のお金(1) 千両って、どのくらい高価なの?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語を演じていると、江戸時代の風俗、習慣、制度などを、きちんと知る必要があります。

 

いま「宿屋の富」という落語を稽古しています。この噺では、江戸時代の富くじ(今の宝くじ)が登場します。富くじ1枚が一分(いちぶ)で、1等の賞金は千両です。噺の中に「富くじを買うために借金をした」という会話が出てきますが、一分とは、どの程度の価値なのか理解していなければ、きちんと楽しむことができません。

 

そこで今回は、落語に登場する江戸時代のお金について、調べてみたいと思います。

 

落語の中には、お金がいろいろ出てきます。「宿屋の富」や「富久」などの富くじが登場する噺では、前述したように富くじ1枚が一分で、当たると千両という設定です。「文七元結(ぶんしちもっとい)」という落語では、博打狂いの左官屋が溜めた借金が五十両。見かねた娘が吉原に身を売って、この五十両を用立てようとします。あるいは「時そば」という落語では、そば1杯が十六文(もん)で、一文ごまかす男が登場します。

 

お金は、今も昔も人間の重大な関心事。お金にまつわる悲喜劇は、落語の重要な題材です。しかし、江戸時代のお金は、現代と制度が違うため、わかりづらい部分も多々あります。

 

1.三貨制度


江戸時代のお金は、金、銀、銭の三種類の貨幣を使っています。「金」は武士の給料や高額な支払いなど、「銀」は商売の取引に使われ、庶民の使うお金は「銭」でした。階層によって使うお金が違っていたのです。また、商人の取引でも、江戸では主に金、上方で銀が使われていました。

 

金、銀、銭のそれぞれに単位があり、場所や階層によって違います。また、金や銭は計数貨幣といって枚数で計るお金ですが、銀は秤量貨幣(ひょうりょうかへい)といって重さで計るものです(のちに計数銀貨も登場します)。

 

2.4進法

江戸時代のお金は、いまと違い4進法が採用されています。

 

3.明治になって貨幣単位が変わる

明治政府になって、貨幣単位が、「両・分・朱」から10進法の「円・銭・厘(えん・せん・りん)」に変わります。落語には江戸時代に作られたものと、明治以降に作られたものがあります。このため、両や文が出てくる噺と、円や銭が使われる噺が混在しています。

 

今回は、江戸時代の落語を楽しむための最低限のお金の知識について知っておきましょう。江戸を舞台とした落語に銀はあまり出てきませんので、金と銭を理解しておきましょう。

 

金貨は(りょう)・(ぶ)・(しゅ)

 

1両= 4分 = 16朱

 

1朱金が16枚、1分金が4枚で、1両です。

 

庶民の使うお金は銭で、単位は(もん)です。

 

1両 = 4000文~

 

なんと1両は、4000文以上と定められているのです。お金の価値は現在と同じく、日々変動しますが、大変な価値があったわけです(1840年代では、1両が6500文程度)

 

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ちなみに江戸時代の主な物価は、

 

蕎麦1杯           16

長屋の家賃(ひと月) 300文~500文

酒(1升)                    250文

米一石(150キロ)       2両

 

だったそうなので、1両というのは大金だったわけです。

 

     参考文献『読んで味わう古典落語の傑作101噺と見て愉しむ江戸の暮らし』

 

富くじで千両当たるというのは、現在の「宝くじ1等・数億円」以上のインパクトがあったのですね。富くじ1枚が1分というのも、かなりの高額だったことが分かります。富くじは1朱~1分程度でしたが、高額なため、何人かで金を出し合って買うことも多かったようです。また、富くじを利用して私設で富を販売する「陰富(かげとみ)」なども生まれて人気が出ましたが、これは犯罪でした。

 

吉原で女郎と一晩過ごすのは、1両以上かかったそうです。吉原の店にあがることは、大変な散財だったわけです。落語では、𠮷原にひやかしに行くという場面がよく登場します。しかし、これはお金がなくて、ひやかしてまわるしかできない、というのが実情のようですね。

 

江戸時代のお金の価値が分かると、落語の登場人物たちの喜怒哀楽が、よりリアルに感じられるようになりますよ。ちょっと頭に入れておいてください。

 

参考文献・資料

日本銀行金融研究所 貨幣博物館

日本貨幣史

http://www.imes.boj.or.jp/cm/history/

 

『読んで味わう古典落語の傑作101噺と見て愉しむ江戸の暮らし』

赤坂治績(著)

集英社新書

 

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