落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

dマガジン:雑誌読み放題サービスに見る「雑誌の終わり」

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。ネットの雑誌読み放題サービス「dマガジン」に加入してみました。dマガジンは、NTTドコモが提供するサービスで、「月額400円で200誌以上が読み放題」をうたい文句にしています。バックナンバーを含めると、なんと1500誌以上が読み放題になります。

 

2018年2月20日時点で、以下のような雑誌が読み放題となっています(一部を抜粋)

 

dマガジンで読める雑誌

 

総合週刊誌

週刊文春、週刊SPA!、女性セブン、週刊現代週刊ポスト、週プレ、週刊女性週刊新潮、女性自身、サンデー毎日週刊朝日AERAニューズウィーク日本版、FRIDAY、FLASH、他

 

女性ファッション

non-no、JJ、エル・ジャポン、Precious、ViVi、S cawaii!フィガロジャポン、Ray、GINZA、FUDGE、25ansSeventeen、VOGUE JAPAN、VERY、CLASSY.、LEE、HERS、Domani、他

 

男性ライフスタイル

DIMEBRUTUS、HotDog、Tarzan、Pen、男の隠れ家、Casa。、サライBE-PAL、一個人、日経トレンディ、他

 

女性ライフスタイル

ESSE、サンキュ!、日経ウーマン、ar、美的、Hanako、VoCECREA家庭画報、すてきにハンドメイド、an・an、他

 

料理・暮らし・健康

レタスクラブきょうの料理、毎日が発見、クロワッサン、3分クッキング、日経ヘルス、日経おとなのOFF、きょうの健康、いぬのきもち、ねこのきもち、ひよこクラブ、たまごクラブ、オレンジページ、他

 

お出かけ・グルメ

週刊Tokyo Walker+、おとなの週末、東京カレンダー、dancyu、旅の手帳、散歩の達人、月刊山と渓谷CREA、他

 

ビジネス・IT・国際

週刊ダイヤモンド週刊東洋経済ダイヤモンドZAi日経PC21、日経Associe、SAPIO、日経マネー、エコノミスト週刊アスキー、PRESIDENT、他

 

スポーツ

週刊パーゴルフ、ゴルフダイジェスト、週刊ベースボールサッカーダイジェスト、Number、RUNNING、Mr.Bike BG、他

 

エンタメ・趣味

サイゾーファミ通ダ・ヴィンチ、パチンコ読本、NHK 趣味の園芸、CAPA、日経エンタテインメント!、つり情報、鉄道ファン、つり人、ザ・テレビジョン、他

 

男性ファッション

メンズクラブ、LEON、GQ JAPAN、UOMO、他

 

こうして誌名を書き出すだけでも、大変な数になります。書店で見かける雑誌は、ほぼ網羅されていると言えるでしょう。しかも、1冊、400円~1000円の雑誌が、月額400円で読み放題なのですから驚きます。

 

誌面デザインがそのまま表示されるので、スマホで読む際、文字サイズはかなり小さくなります。しかし、気になる記事だけ拡大しながら読めば、あまりストレスなく読めるという印象です。タブレットならば快適に使えるでしょう。

 

1冊、数百円の雑誌を400円で読めるのですから、200誌で考えると1冊あたり2円で読める計算になります。雑誌を買ったり、持ち運ぶ手間もいらず、いつでも・どこでも読むことが可能。利用者にとっては、実にリーズナブルで便利なサービスといえます。

 

この読み放題サービスを使いながら、私は「雑誌は、いよいよ終わりを迎えたのだな」と感じました。

 

雑誌や新聞など有料メディアの終焉(しゅうえん)

 

雑誌はお金を払って読む、有料のメディアです。掲載されている情報を読む対価として、読者はお金を払います。新聞も有料メディアに入ります。これに対して、テレビ、ラジオは無料メディアです(NHKの受信料を除く)。

 

ネットが普及するまでは、自分が本当に欲しい情報には、対価を支払うのが一般的でした。このため、新聞や雑誌など有料メディアがビジネスとて成立していたのです。しかしネットの進展により、情報は無料化へと、一気に進んでいきました。

 

ネットで検索すれば、必要な情報は、いつでも無料で入手できる。現在、これが当たり前のことになりました。

 

新聞など従来の有料メディアは、なんとかネット上でも情報を有料化しようと試行錯誤を続けています。新聞や雑誌の記事は、編集者や記者が時間とお金をかけて、作り上げているものです。読者にお金を払ってもらわなければ、ビジネスとして継続していけません。しかし、この有料化の試みは、ほとんどうまくいきません。

 

なぜでしょうか? 

 

答えはシンプルです。無料が当たり前のネット上において、情報の有料化は、利用者にメリットがないからです。特に10代、20代の人は、雑誌や新聞などをほとんど読まないので、情報にお金を払うという考え方さえありません。利用者にメリットのないものは、広まらないのです。

 

プロフェッショナルが作る「質の高い情報」の必要性

 

雑誌は、専門的な知識を持った編集者や記者、ライター、プロのカメラマンなど、プロフェッショナルな集団が作る「質の高い情報」が強みであり、それによって対価を得ています。

 

しかし、ネットの情報は、集団から個人、質から量へと移り変わっています。アマチュアが書いたブログや撮影した写真が、たくさんのフォロワー(読者)を集め、プロのメディア以上の影響力を持つようになりました。

 

私は、プロの作る情報の信頼性や質の高さを否定するつもりはありません。しかし、プロフェッショナルが、月1回の単位でまとめている読み物よりも、素人がその場で写真撮影してアップした情報のほうが価値が高くなっているのです。情報の価値は、質よりも「スピードと量」の時代に移行しているのです

 

雑誌ビジネスの終わり

 

雑誌は、販売収入(雑誌自体の売上)と広告収入(雑誌に入る広告の売上)によって、ビジネスが成立しています。ご存じのように雑誌の販売部数は低下の一途をたどっていますので、販売収入も減る一方です。

 

雑誌の広告媒体としての価値は、セグメントにあります。女性誌の多くは年齢とライフスタイル、男性誌は趣味などでセグメントしています。例えば、女性誌の場合「30代後半の独身女性で、仕事を持っていて、おしゃれと美容に高い関心を持っている層」という具合にセグメントし、その読者層を一定数、囲い込んでいるということが媒体の価値となります。

 

この一定数というのは、販売部数になりますが、これが通常、非公開なのです。出版社が公表しているものは公称部数と呼ばれるもので、数が水増しされていることもあります。第三者機関により、印刷部数や実売数が公表されている雑誌もありますが、すべてではありません。また、雑誌は売れなければ返品されるので、印刷部数と実売数には、かなり差があります。つまり、ターゲットを囲い込んでいるといっても、実数が不明、あるいは不正確なのです。

 

また、費用を使って広告を出しても、その広告によってどのくらい商品が売れたかという効果が不明瞭です(通販型広告を除く)。費用対効果が厳しい現在、実数や効果が不明確であることは、広告メディアとして致命的な欠点となります。

 

近年、ネットでも媒体ごとにサイトを開設し、読者を囲い込もうとする動きがあります。読者減のカバーとネット世代の取り込みが目的ですが、ビジネス状況を改善することはできないでしょう。それは出版社が、ネットをあくまで紙媒体の補完物として位置付けているからです。

 

雑誌ビジネスに打つ手はあるのか?

 

今回、雑誌読み放題サービスに、多くの雑誌が雪崩をうつように参加を決めたことで、雑誌の情報価値や広告価値は、さらに下がりました。また、雑誌販売で収入をあげている書店や取次などへの影響も大きいでしょう。

 

私が指摘したような雑誌の問題点・課題は、昨日今日に生じたものではありません。雑誌ビジネスに関わる方なら、随分前から分かりきっていたことです。ただ、長い間、既得権益や内部の論理にとらわれ、手をこまねいていたのです。

 

では、雑誌ビジネスに展望はあるのでしょうか? 

 

ペーパーメディアで、ごく一部のメディアが、ネットの時代での延命を実現しつつあります。こうした企業は、「紙メディアに将来的な展望はない。ネットビジネスを主業にする」と決断しています。そして、社長のトップダウンで、転業を図っています。

 

しかし、大半の出版社は、前述したようにあくまで主業は紙媒体で、ネットは補完物という位置づけです。社内では、編集部の権限が強く、経営陣も紙媒体の出身者が占めています。ですから、ネットの本質的な価値が分からず、利用者メリットのあるものが作れません。紙メディアとネットメディアはビジネス構造が根本的に違い、必要な人材も異なることに気がつきません。

 

雑誌を読む習慣がまったくなくなっていたのですが、dマガジンによって、久しぶりに多くの雑誌に目を通しました。しかし、残念ながら「どうしても読みたい」と思う記事には、ほとんど出合いませんでした。

 

現在、10代、20代にとって、マンガ以外の雑誌は、ほとんど必要ありません。dマガジンは、50代の私にとっても、雑誌は不要であることを再認識させてくれたサービスでした。

 

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