落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

落語の登場人物:若旦那は、大塚家具や大王製紙の跡取りと似ているの?

f:id:osamuya-tasuke:20180112002550j:plain

 

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語によく出てくる登場人物は、大体決まっています。長屋の八っつぁん、熊さん、ご隠居さん、おかみさんと子供。商家の大旦那、若旦那、番頭さん。廓噺(くるわばなし)の花魁(おいらん)や幇間。おなじみのメンバーですが、あなたの周りにも、きっと似たような人がいるはずです。ぜひ、探してみてください。今回紹介する登場人物は、「若旦那」です。

 

タンポポの綿毛のようにフワフワとしたお坊ちゃま

 

落語に登場する若旦那は、大店(おおだな:大きな商店)の跡取り息子。働くことは大嫌いで、女や芸事にうつつを抜かしています。店の金を持ち出しては、吉原の花魁に貢ぎ、父親にどんなに叱られても気にしない。挙句の果てには勘当され、店に出入りしていた職人の家などに転がり込む。見かねた周囲の人の勧めで、船頭や唐茄子(とうなす:カボチャ)売り、湯屋(銭湯)などの仕事に就くのですが、甘いことばかり考えていて、トンチンカンな言動を繰り返します。

 

船徳」「唐茄子屋政談」「湯屋番」「明烏」「干物箱」「よかちょろ」「二階ぞめき」など、若旦那噺も落語の中では、一大ジャンルを作っています。落語の若旦那は、勘当されても、つらい仕事をしても、基本的に心を入れ替えません。いつでも甘いことを考えています。若旦那にとって大事なのは、「もてること」や「カッコいいこと」なのです。このタンポポの綿毛のようにフワフワとした生き様が、落語の世界では、とても楽しい世界を作るのです。

 

現実世界にも、落語のような若旦那はいるのかな?

 

現実の世界で、落語の若旦那のような人は、実際にいるのでしょうか? これまで、さまざまな企業のトップとお会いする機会があったのですが、一代で財を成したような剛腕な経営者の跡取りは、どちらかというと堅実で小粒なタイプが多いという印象があります。

 

色々と考えていて頭に浮かんだのが、大王製紙の跡取り息子です。社長、会長として在任中にギャンブルで106億円も失ったあげく、会社の金を流用して逮捕され、懲役4年の実刑判決を受けました。有名人や女性芸能人との華麗な交遊も随分、噂になりました。若旦那度はかなり高そうです。

 

あるいは大塚家具の社長になった長女はどうでしょうか? 創業者である父親と経営権を巡り、派手な親子喧嘩をしたあげく、父親を追い出し、社長の座に就きました。しかし、就任後2年間で約100億円の大損失を計上しそうです。落語の若旦那のように遊び惚けているわけではありません。むしろ若旦那とは正反対のタイプともいえるでしょう。しかし皮肉なことに、親の築いた大店を、娘が派手に傾かせているのです。

 

こうして書き出してみると、どちらのケースも、時間が経っていないせいもありますが、生生しくて、ネガティブなものばかりが目についてしまいます。芝居にはできるかもしれないけれど、落語には、とてもできそうにありません。

 

悲劇や堕落、欲望や対立など、日常世界で起こりうるドロドロしたものは、そのままでは「笑い」にはなりません。辛いものや悲しいものも含めて、すべてを「笑い」に変えてやろうという強い意志と、「笑い」に昇華させるための長い長い時間が必要なのです。

 

落語の世界の若旦那たちは、肩の力が抜け、みんなフワフワと呑気に生きています。ぜひ、そのいい加減さを楽しんでみてください!

 

船徳

 道楽のあげく勘当された若旦那の徳さん。なじみの船宿に居候をしているのだが、「自分も船頭になりたい」と言い出した。そんな細い体では無理だと親方は忠告するのだが、聞き入れない。夏の盛りに、船宿の馴染み客が、「浅草まで船で行きたい」と、友人を連れてやってくる。ちょうど船頭が全員出払っていて、徳さんが船頭を務めることになるのだが……。

 

船徳古今亭志ん朝

www.youtube.com

 

参考文献

『溶ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』

井川意高(著)

双葉社

 

関連記事

osamuya-tasuke.hatenablog.com