落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

柳家小三治に会いたくて。会いにいく~第131回:江戸川落語会

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。柳家小三治師匠が出演すると聞いて、12月16日に開催された江戸川落語会に足を運びました。江戸川区在住だった橘屋圓蔵師匠が尽力して始まった落語会で、今回で第131回を迎えます。

 

会場は、小岩駅から歩いて15分ほどの江戸川区総合文化センター・小ホール。毎回、落語家さんの誰かが、駅からの遠さをマクラで語ります。暑い時期には確かに「ちょっと遠いな」と思いますが、このホールは天井も高く、音の響きも良いので気に入っています。

 

このセンターには、レストランが入っていて、開演まで食事をしながら待っていられるのも魅力のひとつです。この日も席は、江戸川落語会の常連さんたちで埋まっています。小三治師匠の長年のファンの方達でしょう。70代くらいの方が多いようです。

 

雪の降る光景が目に浮かぶ扇辰師の「雪とん」

 

今回の出演は、柳家小八、入船亭扇辰、柳家小三治師匠です。

 

柳家小八は、2017年3月に真打昇進して「ろべえ」から小八に改名しました。師匠は、2016年惜しまれながら亡くなった柳家喜多八です。本日の演目は「だくだく」。柳家喜多八の芸風を引き継ごうとしているのでしょう。マクラはけだるそうに話して、本編に入るとがぜん語り口が熱くなり、声も張り上げていきます。喜多八師のメリハリには、まだ及びませんが、芸風として確立できれば面白いかもしれません。

 

入船亭扇辰師匠の演目は、寒い季節のピッタリの「雪とん」。

 

船宿で、縁のある田舎者の若旦那を泊めている。この若旦那、町で評判の美人・お糸に惚れてしまい、体を壊してしまう。「酒の一杯も酌み交わせれば、それで満足して帰る」と訴える若旦那。船宿の女将は仕方なく、お糸の女中に小遣いを与え、夜中に忍ばせる手はずを整える。その晩は、あいにくの大雪。若旦那は道に迷ってしまい、そこら中の木戸を叩きまわるが、どこも開けてくれない。ちょうど同じ時刻に、役者顔負けのいい男が通りかかる。この男、「お祭り佐七」と呼ばれる人気者。下駄に雪が挟まったので、トントンと雪を落としたところ、合図と思った女中に連れ込まれてしまう。佐七が、あまりにもいい男だったのでお糸は、その晩、泊めることに……。

 

女性を演じたら抜群の扇辰師匠。田舎者の若旦那に手を焼く女将や小遣いの欲しい女中、お嬢さまのお糸など、実に達者に演じ分けます。降り積もる雪の情景描写も抜群。あまり聴くことのできない珍しい噺を、たっぷり堪能できました。

 

「頑張れ、頑張れ!」と念じながら小三治師匠を見守る

 

トリは、観客全員がお待ちかね柳家小三治師匠です。割れんばかりの大きな拍手が、期待の大きさを感じさせてくれます。

 

小三治師匠といえばマクラの面白さでも、よく知られています。今回は、安倍首相への不満など、「世の中、これでいいのか」という切り口で語り始めます。

 

しかし残念ながら、固有名詞が出てこなかったり、途中で話しがつまったりで、いろいろな話題が出るものの、中途で終わってしまいます。「ちょっと、この話しはやめておきましょう」「なんだか今日は、頭が熱くなりすぎているから、ここでやめときましょう」と言って、頭を抱えること数回。その度に、心の中で「小三治、頑張れ!」と祈るようにして聞いていました。観客全員が、同じような気持ちだったのではないでしょうか。

 

「太鼓が鳴ったら、高座を降りる合図ですから」と言い、マクラを話し続けること50分。「今日はマクラで終わりかな。まあ、いいか」と思ったところでドンと太鼓の音。

 

と、ここから小三治師、噺を始めたのです。ネタは「宗論」。宗派の違う親子の食い違いが面白い、この噺を、結構なスピードで語り始めます。息子を叱る親父の口調に往年の滑舌のよさはなく、途中、少しつまってしまうことが数回。

 

しかし、観客はよく笑っていました。マクラの時間も含めて、温かく、大きな笑いが何回も、何回も起こりました。

 

名人・古今亭志ん生は、晩年、高座にあがっても何を話しているのか聞き取れない状態だったそうです。しかし、高座に登場するだけで大きな拍手で迎えられ、観客はとても楽しんでいたそうです。

 

この日の会場も、同じ空気を醸し出していました。集まった観客は、私も含めて、落語を聞きに来たというより、小三治師匠に会いたくて、会いにきたのです。

 

それは、それでいいのだと思います。

 

小三治師匠に会いたいという観客がいる限り、まだまだ高座に上がっていただければと思い、帰路につきました。

 

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