落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・おさむ家太助が、落語の魅力を考えます。

お勧めの落語家:立川談修~端正な語り口で聴かせる新時代の名手

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。秋の気配も深まり、冬の寒さも感じられるようになってきた11月6日、人形町で開催された立川談修・独演会「談修インザダーク Vol.5」に足を運びました。

 

端正な語り口から繰り出される、少しダークな噺の数々

 

立川談修師匠は、とても端正な語り口ときれいな所作が特徴です。顔立ちは、育ちのよい若旦那という感じでしょうか。どのような噺を演じても、実に上品に仕上げます。悪ガキの代表である長屋の子供(金坊)や口の悪いおかみさんでも、談修師が演じると、品が良く、とても可愛らしくなってしまうから不思議です。

 

ただし、談修師は「お上品な落語」を志向しているわけではありません。すでに5回目の開催となる、この「談修インザダーク」は、以下のようなコンセプトで開催されています。

 

〝明るく面白いだけが落語の魅力ではない〟をモットーに、

陰惨な内容の噺や地味で演じ手の少ない〝かげりのある噺〟ばかりを選び、

落語の持つディープでダークな部分を楽しんでいただこう、という企画です。

(立川談修ホームページより)

 

 

この日の演目は、

身投げ屋

応挙の幽霊

妲己のお百(だっきのおひゃく)

 

「身投げ屋」は、爆笑王・柳家金語楼が創作した落語。橋から身投げするふりをして、通りかかりの人たちから金を貰う「身投げ屋」を始めた男。うまい具合に儲かったのだが、みすぼらしい父子がやってきて「死んで、お母さんのところへ行こう」などと話し始める。男は同情して、手に入れた金を全部与えてしまう。ところが、この父子も身投げ屋だった、という噺。談修師が演じると、子供が実に可愛らしく、お金を与えたくなる気持ちが伝わってきます。

 

「応挙の幽霊」は、江戸時代の絵師・円山応挙(まるやまおうきょ)が描いたという幽霊画の掛け軸を巡るコメディ。絵の中の美人幽霊が出てきて、道具屋と酒を飲み始め、酔っぱらってしまいます。この幽霊の愛らしいこと!

 

妲己のお百」は、談修師の師匠である立川談志が得意としていた怪談噺。悪女の代名詞のような妲己のお百が主人公。目を患って門付けしている元芸者・峰吉親子を引き取ったお百は、峰吉を目の療治に行かせている間に、娘を吉原に売り飛ばしてしまう。戻って来た峰吉も邪魔になり、自分の旦那の子分に殺させてしまうのだが……。

 

今回公演の目玉というべき、この怪談噺では、途中から照明が落とされ、山場では鳴り物も入り、実に迫力がありました。悪女・お百と、やつれ果てていく峯吉のやり取りが、太助的には一番、ゾッとしました。

 

怪談、幽霊噺、身投げで金儲けする噺と、確かにディープで陰りある落語ばかり。しかし、談修師匠の品の良い語り口だからこそ、必要以上に陰湿にならず、ときに笑い、ときにゾクッとしながら3席を楽しむことができた気がします。

 

柳家三三師匠もそうですが、談修師も過度なギャグや客いじりを入れないので、本当にじっくり落語を聴きたいという方には、ピッタリの落語家さんです。

 

帰り道、昔々、プロの歌手から聞いた言葉を、ふと思い出しました。「トップになる歌手は、歌がうまいだけでなく、歌に粘りけぬめりがある」と、その方は言っていました。井上陽水やB'zの稲葉浩志などがそうですが、確かに歌に納豆のような、糸を引くベトッとした粘りけがあります。

 

そういえば、名人と呼ばれた三遊亭圓生(えんしょう)の怪談には、ベタっ~とした、体にまとわりつくようなものがありました。いやな感じが残るというか……。

 

立川談修師匠や柳家三三師匠など、現代の「上手」な落語家さんには、そのような粘りけやぬめりは、あまり感じません。いまの若い世代は、「納豆の粘りけが嫌い」という人が多いそうですから、「トップの落語家像は変わっていくのかもしれないな」などと考えつつ帰途につきました。

 

今回の公演は、第72回 文化庁芸術祭参加公演。月曜日の夜にもかかわらず会場はかなりの入りで、最後の一席「妲己のお百」が終わった後は、惜しみのない拍手が響いていました。

 

小噺から今回のような少しダークな噺まで、気持ちよく聴かせ、引き込ませる落語家・立川談修師。間違いなくお勧めの落語家さんです!

 

 

立川談修(たてかわ・だんしゅう)

1995年 立川談志に入門

2013年 真打昇進

 

ホームページ

http://tatekawa-dansyu.com/

 

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