落語業界は、真打が64%のすさまじい逆ピラミッドの世界!!
こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語家は、師匠に弟子入りを許されると、前座見習い→前座→二つ目→真打(しんうち)と序列を上げていきます。この真打になるためには、団体によって違いはありますが、12年から15年かかるといわれます。前座での修行を経て、たくさんの噺を覚え、晴れて最高位である真打に到達するのですね。
しかし、落語の世界は「定年がなく、真打ばかりが大量にいて、前座が極端に少ない逆ピラミッドの業界だ」とも言われます。
今回は、落語業界の階級分布に焦点を当てて、その特異な構造を考えてみたいと思います。
なんと真打が64%を占める、すさまじい逆ピラミッドの業界!
今回、落語家さんの階級分布を調べてみました。東京の落語家さんの総数を調べてみると総数551名(2017年10月現在)。真打、二つ目、前座の人数を調べると、以下のようになりました。
真打 352名
二つ目 120名
前座 79名
グラフにすると、こんな感じになります。
パーセンテージでは
真打 64%
二つ目 22%
前座 14%
となります。
見事な逆ピラミッドができあがりますね。なぜ、このような逆ピラミッドができるかというと、落語家には定年がないからです。廃業しない限り、いつまででも現役の落語家です。桂米丸師匠は大正14年生まれの92歳、いまだに現役です。
増え続ける真打に対して、落語業界に入門して前座になる若者は、それほど多くはありません。
1年間、ほとんど休みのない、きびしい前座修行
前座修行という言葉がありますが、落語業界に入ると、数年は修行の毎日です。
落語家になるためには、まず入門したい師匠に弟子入りを願い、許可されると前座見習いとなります。前座見習いの仕事は、師匠のかばん持ち、師匠の家の雑用などです。そして、この期間に前座になるための修業を積むのです。落語の稽古、着物の着方やたたみ方、鳴り物(出囃子の太鼓)の稽古などです。師匠から許可が出て初めて、寄席の楽屋入りができるようになり、前座となります。
前座の仕事は、前座見習いの用事に加えて、寄席の仕事が加わります。楽屋の掃除など開演の準備から、寄席が始まると高座返しをしたり、出囃子の太鼓を叩いたりします。また、楽屋では、先輩方にお茶を出したり、師匠方の着替えの手伝い、ネタ帳をつけたりと働きます。プログラムが終了すると、楽屋の後片付け。こうした日々の仕事の合間に、噺の稽古をつけてもらったり、他のお稽古事などをします。
前座は毎日寄席に通うので、お休みは余一(大の月の31日)のみ。毎日この繰り返しをして、約4年で二ツ目になるそうです。
給料は、寄席の出演料(5,000~1万円程度)と師匠からいただく給金で、けっして高くはありません。高校や大学を出たばかりの遊びたい盛りの年齢で、休みがほとんどなく、給料も高くないわけですから、職業として選ぶ若者は多くはないでしょう。
今後、高齢化が進み、ますます真打が増えていくと、本当に前座が足りなくなる可能性があります。三遊亭白鳥師匠が新作落語「老人前座じじ太郎」で話していたように、中高年を使わなければ人手が足りなくなる日が来るかもしれません。
太助を含め、落語を演じたいという中高年は多く、リタイア世代は金銭第一ではありませんから、生涯前座として雇うのは良いかもしれません(笑)。使えない、使いづらいは覚悟のうえで、検討してみてはいかがでしょうか?
参考記事
落語家の階級(落語芸術協会ホームページより)
落語家の階級 - 落語ってなに? - 落語はじめの一歩|落語芸術協会
三遊亭白鳥「老人前座じじ太郎」