落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

お勧めの落語家:柳家三三~心地良いリズムで落語の世界へ誘う

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。先日、ある落語会に行きました。登場した落語家さんは、落語に「客いじり」や「くすぐり」を数多く入れてくるタイプの方でした。

 

客いじりとは、落語の途中で「そこのおばちゃん、笑ってるけど、あなたのことだよ!」のように、観客を使って笑わせようとする手法です。「くすぐり」も、笑いを取るために入れるギャグのようなものです。近頃は、落語の時代設定に関係なく、現代の固有名詞や風俗を入れるのが流行です。江戸時代の噺(はなし)なのに、「お前は、小池百合子か!」と入れたりします。

 

その落語会は爆笑の連続で、大変に盛り上がっていました。「とにかく笑いたいから、落語に行く」という方も多いですし、そのような方には満足できる会だったと思います。

 

その帰り道。太助の脳裏に、ある想いが、ふと浮かんだのです。

 

「ああ、柳家三三が聴きたいなぁ~」

 

リズムの安定感と心地よさが、落語の世界に誘ってくれる

 

三三と書いて「さんざ」です。以前は、マクラで「三三と書いて『さんざ』と読みますが、『みみちゃん』と覚えてくだされば結構です」と笑わせていました。しかし今は、著名な人気落語家となり、そのようなマクラは不要となりました。

 

柳家三三師匠の魅力は、何と言っても、落語のリズムの心地よさです。

 

落語はリズムとメロディーが大変に重要です。これによって、落語家の巧拙(こうせつ)が決まると言っても過言ではありません。音楽と非常によく似ているのですが、乱れることのない安定したリズムが刻まれることが、ベースとなります。

 

下手な素人バンドの演奏を思い浮かべてみてください。まずリズムが安定していません。早くなってしまったり、途切れてしまったりで乱れます。リズムが安定していないと、聴衆は心地よく聞くことができません。

 

落語も同じです。噺の途中でセリフを言い間違えたり、一瞬でも途切れたりすると、このリズムは壊れてしまします。噺家さんは各自のテンポで語りますが、名人・上手と呼ばれる人ほど、このリズムが安定していて心地よいのです。

 

現在、活躍している落語家さんの中で、この「リズムの安定感、心地よさ」で群を抜いているのは、間違いなく柳家三三師匠でしょう。

 

その印象は、例えば和太鼓の演奏で、「トン・トン・トン・トン」と刻まれるリズムのようです。心地よいだけでなく、古典落語の世界にとても合っています。

 

江戸の世界が、聞いている人の脳裏に広がっていく

 

三三師匠のもうひとつの魅力は、語りの聞きやすさです。テンポを重視しすぎるあまり、セリフがはっきりと聞き取れない落語家さんも多いのですが、三三師匠は、口調がはっきりとしていて、ひと言、ひと言が明瞭に聞き取れます。これは聴衆にとって、大変にありがたいことです。職人であろうが、小僧であろうが、登場人物にかかわりなく、すべてのセリフが実に明瞭です。

 

三三師匠は、高座ではニコリともしません。噺の途中で、客いじりや不必要なくすぐりも入れません。落語の世界を、心地よいリズムと語り口で展開していってくれます。

 

師匠である柳家小三治が言うところの「ギャグで笑わせるのではなく、落語本来の持っている面白さを引き出す」ことに、専心しているのでしょう。

 

落語を見たことがない初心者に、太助がまずお勧めする落語家は、柳家三三師匠です。長い噺でも、短い噺でも大丈夫。落語の世界に、心地よく入っていけるはずです。間違いありません。

 

柳家三三(やなぎや・さんざ)

1993年3月     柳家小三治に入門

 

受賞歴

北とぴあ若手落語競演会大賞

平成15年度 にっかん飛切落語会若手落語家大賞

平成16年度 花形演芸大賞銀賞

平成19年度 文化庁芸術祭新人賞

平成27年度(第66回)芸術選奨 文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)

 

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