落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

太助セレクト落語 2018年1月下旬から2月初旬のお勧め落語会

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2018年1月中旬から下旬のお勧めの落語会をピックアップしました。1月は、新春興行の楽しさがタップリと楽しめる時期です。夢の組み合わせの落語会も目白押し。チケットはお早めに!

 

ふなばし市民寄席「喬太郎・白酒・一之輔三人会~春の気になる三人会」

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日時:1月30日(火) 開演:18:30

料金:3,600円

出演柳家喬太郎桃月庵白酒春風亭一之輔

場所船橋市民文化ホール

問い合せ:03-5785-0380

船橋市周辺の方の熱い支持を得ている「ふなばし市民寄席」。新春は人気落語家、喬太郎・白酒・一之輔師匠のそろい踏みです!

 

落語教育委員会

日時:2月5日(月) 開演:19:00

料金:3,600円

出演柳家喬太郎、三遊亭歌武蔵、三遊亭兼好

場所市川市文化会館

問い合せ:043-224-1710

落語教育委員会 | てこなどっとねっと 公益財団法人市川市文化振興財団

⇒新メンバーの兼好師匠が加入した落語教育委員会。コントあり、漫談あり、落語ありの楽しい公演です。

 

風間杜夫の落語会

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日時:2月8日(木) 開演:19:00

料金:3,100円

出演風間杜夫柳家喬太郎、白戸知也(津軽三味線

場所横浜にぎわい座

問い合せ:045-231-2515

http://nigiwaiza.yafjp.org/perform/archives/14771

⇒プロの落語家顔負けの技術で魅せる役者・風間杜夫。つかこうへい作品に出演していた頃の輝きが、垣間見られます。

 

柳亭市馬春風亭昇太二人会

日時:2月9日(金) 開演:15:00

料金:3,000円

出演柳亭市馬春風亭昇太

場所:いちょうホール(八王子)

問い合せ:042-621-3001

www.hachiojibunka.or.jp

⇒市馬、昇太師の二人会! 二人が弾けたら、とんでもない世界が広がりそう。期待大の二人会です。

 

かめあり亭第33弾「新作落語の会~今は新作!いつかは古典」

日時:2月10日(土) 開演:14:00

料金:3.800円

出演柳家喬太郎三遊亭白鳥林家彦いち

場所:かめありリリオホール

問い合せ:03-5680-3333

⇒このメンバーならば間違いなく、新作落語も安心して楽しめます。新作落語をあまり聴いていない初心者にもお勧めの落語会です。

 

 

*情報内容は、変更等の可能性があります。購入前に確認をお願いします。

「徳川家康」山岡荘八:文明を改める哲学は生まれたのか?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。久しぶりに山岡荘八(著)徳川家康を読み返しています。この本を開く気になったのは、韓国の元大統領である朴槿恵(パク・クネ)が、拘置所で熱心に読んでいるというニュースを知ったからです(韓国版の書名『大望』)。

 

ご存じのように朴槿恵は、数奇な運命を歩んでいる人です。父親は元大統領の朴正熙であり、彼女の両親は凶弾に倒れました。その後、韓国初の女性大統領に昇りつめ、また大統領として初めて罷免されることになりました。韓国は歴史的に、倒れた権力者に対しては徹底的に叩きのめすので、裁判の結果はおそらく厳しいものになるでしょう。

 

父親は日本との国交を回復しましたが、彼女は一貫して反日の立場を取り続けました。現在、周りには誰もいなくなり、ひとり独房で、日本の国民文学ともいわれる『徳川家康』を開く。その運命の不思議さを思います。

 

彼女がなぜこの本を手に取り、何を見い出そうとしているのか。少し知りたくなったのです。

 

戦争と平和を描く壮大な叙事詩

 

徳川家康』は、太平洋戦争が終戦して間もない1950年から執筆が開始され、17年もの歳月をかけて書かれた歴史小説です。現在、山岡荘八歴史文庫(講談社)に収められていますが、全26巻の大長編です。第1巻のあとがきに、この長編小説の執筆動機とモチーフが書かれています。

 

終戦後、山岡の脳裏には、以下のような思いが浮かびます。

 

 戦いは終わったが、「平和」はまだその片鱗(へんりん)も地上に姿をあらわしていないというきわめて平凡な、しかし、きびしい事実だった。

 

 これは終戦ではなく、より惨憺たる次の展開への小休止ではあるまいか。文明の持つ性格からも、人々の頭脳を支配している哲学からも、現実にうごきつつある政治からも「平和」につながる何ものも発見できず、万人の希求とはおよそ正反対の血の匂いしか受け取れなかった。

徳川家康』第1巻 あとがきより

 

山岡荘八は、第二次大戦後の平和を、戦争と戦争のはざまの「小休止」ではないか、ととらえたのです。そして、「戦いのない世界を作るための条件は何か」を探るために書き上げたのが本著です。このために選んだ人物が、応仁の乱から続く、長い長い戦国の時代に終止符を打った徳川家康だったのです。

 

世界は知恵と哲学を手に入れたのか?

 

終戦から70年以上の歳月を経て、文明は恐ろしいほどに変化しました。その変化の象徴がITの発達でしょう。初期の大型コンピューターなみの能力を持ち、世界中とつながることができるスマートフォンを、誰でも気軽に持てる時代になりました。

 

誰もがさまざまな情報を、いつでもどこでも入手できるだけでなく、自分の意見や動画を簡単に世界中に発信できるようになりました。買物もネットで済ませられるだけでなく、リアルな貨幣さえも不要になりつつあります。

 

この変化は、確かに生活に「便利」をもたらしました。しかし、ネットは世界中の人間同士の「理解」や「共感」を深めているのでしょうか? わたしは逆に、憎しみや恨み、反感を深めていっているように思えます。一国の大統領が口にする罵詈雑言が、世界中にあっという間に広がります。それに対して、憎しみや反発の感情をむき出しにしたコメントが果てしなく連なります。

 

ネットは、人間のドロドロとした感情を解き放ってしまいました。嫉妬、不信、ねたみ、反発、憎しみ、優越感・劣等感……。パンドラの箱を開けてしまったのです。「負」の感情の連鎖には終わりがありません。

 

山岡荘八は、戦いのない世界を作るために、以下のように語っています。

 

 戦いのない世界を作るためにはまず文明が改められなくてはならず、文明が改められるには、その背景となるべき哲学の誕生がなければならない。新しい哲学によって人間革命がなしとげられ、その革命された人間によって社会や政治や経済が、改められたときにはじめて原子科学は「平和」な時代の人類の文化財に変わってゆく

徳川家康』第1巻 あとがきより

 

北朝鮮の核開発、EUの崩壊、トランプ大統領の暴言拡散、米中の危ういパワーバランス、テロの脅威拡大など、身の回りの出来事を眺めていると、現在が戦いの前の「小休止」にすぎないという感を抱きます。山岡が言うように、次の世界を考える新しい哲学が、今まさに必要なのでしょう。

 

年の瀬です。年末・年始は『徳川家康』という大きな山に登ってみようと思います。

 

徳川家康

山岡荘八(著)
山岡荘八歴史文庫

講談社

落語家にとって歯は命! 太助の歯医者放浪記(1)

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。年の瀬が迫り、一年を振り返る時期になりました。今年もいろいろありましたが、年間を通じて悩まされたのが「歯」についてでした。

 

長い、長い歯医者放浪記の始まり

 

2017年の1月から、歯が急激に悪くなり、全体的に弱体化してきました。特に金属を被せてあった奥歯2本が、歯周病の悪化でグラグラしてきて、歯茎の腫れや痛みがひどく、通院を開始。そして1年が終わろうとしている現在、まだ歯医者通いが続いているのです……。

 

この間、歯医者を変えること4回(知人からは「歯医者放浪記」と呼ばれています)。長年通っていた歯医者の施術(被せたものが、すぐ取れる)と、機材の古さに疑問を抱き転院。次の医院は、機材は新しいがきちんと症状を説明してくれないので転院。3度目の病院では、初めから治療などする気はなく、すぐに抜歯されてしまう。1本抜かれたところで、納得がいかず転院。現在、4軒目の歯医者さんに通っています。

 

とにかく歯に悩み続けた1年でした。今回、よく分かったのは、歯が悪いと落語がうまく喋れないのです。歯茎が腫れているのはもちろん、仮の被せものがあっても上手に話せません。舌が今までと同じように、うまく動かないのです。

 

滑舌(かつぜつ)」という言葉があります。セリフや台本を滑らかに発声することで、「あの役者は滑舌が良い・悪い」などと使われます。

 

つくづく感じたのは、セリフの流暢(りゅうちょう)さは、滑舌という言葉の通り、「舌の動かし方にあるのだなあ」ということです。口の中の状態が少し変わるだけでも、滑舌はうまくいかなくなるのです。

 

また、歯に隙間ができてしまったりすると、そこから息が漏れてしまい、きれいに発声できません。このことも、歯を1本抜かれて実感しました。

 

落語家にとって歯は命!

 

話芸である落語はリズムとテンポがとても重要ですから、歯が悪くなり、滑舌が悪くなるのは大きなダメージになります。特に、「言い立て」と呼ばれ、長いセリフをテンポよく、スピーディーに聞かせる噺などでは致命傷です(「大工調べ」「金明竹」など)。

 

落語家さんもご高齢になると、やむを得ず入れ歯を使う方も現れます。しかし、本当に滑舌が変わってしまう方がいます。「入れ歯前・入れ歯後」といわれることもあるそうです。

 

名人と呼ばれた八代目・桂文楽、人気者だった五代目・三遊亭圓楽師匠なども、入れ歯が合わず、大変に苦労されたそうです。

 

昨日まで流暢に話せていたセリフが、思うように話すことのできない悔しさ、もどかしさは、大変なものであったと推察します。

 

現在、まったく口がまわらなくなってしまった黒柳徹子さん。昔、機関銃のように、ポンポンとテンポよく話せた記憶だけが、本人には残っているのでしょう。しかし、頭の回転に、口が全く追いついていきません。寂しさを通り越して、痛々しさやみじめさを感じます。

 

「楽しさ」や「笑い」を生み出すエンターテイナーが、視聴者に痛々しさを感じさせるようになったら、きっぱりと舞台を降りるべきだと思います。

 

今年、私が歯医者を転々とした大きな原因は、医者によって言うことが異なるためでした。「治る」という方、「治らないから、すぐ抜歯する」という方、きちんと説明してくれない方。どの歯医者さんを信じてよいか分からずに、フラフラと転院を繰り返していました。早く治して、落語をきちんと稽古したいという焦りもあったように思います。

 

太助の歯医者放浪記は、年が明けても続きそうです(涙)。

 

歯が悪くなれば、流暢に話せないだけでなく、口臭も生じますし、何を食べても美味しくありません。悪くなるまで気づかずに、ほったらかしにするのが人間の常ですが、皆さん「歯」には、十分気をつけてくださいね!

 

五代目・三遊亭圓楽「短命」

www.youtube.com

 

 

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太助セレクト落語 2018年1月初旬のお勧め落語会

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2018年1月上旬から中旬のお勧めの落語会をピックアップしました。年明けは、新春興行で落語会が最も活気づく時期です。新春興行で独演会も多く開催されます。お気に入りの落語家さんをたっぷり楽しめるチャンスですよ!

 

第3回 二人三客の会

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日時:1月11日(木) 開演:19:00

料金:3,100円

出演:入船亭扇遊、瀧川鯉昇橘家文蔵(ゲスト)、伊藤夢葉(奇術)

場所横浜にぎわい座

問い合せ:045-231-2515

⇒年明けは、扇遊、鯉昇師匠の肩の凝らない落語で、心から笑ってリラックスしてください。

 

柳家三三独演会「横浜三三づくし 豚ざんまい」

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日時:1月12日(金) 開演:19:00

料金:3,100円

出演柳家三三

場所横浜にぎわい座

問い合せ:045-231-2515

三遊亭白鳥作「任侠流れの豚次伝」10か月連続通し口演。第9話「人生鳴門劇場」。豚次の旅もいよいよ最終章へ!

 

特撰落語名人会

日時:1月13日(土) 開演:12:30

料金:S席3,600円、A席3,000円

出演柳家さん喬柳家権太楼、古今亭菊之丞桃月庵白酒

場所鎌倉芸術館

問い合せ:03-6240-1052

⇒さん喬、権太郎、両師匠のそろい踏みを見たいという方は、2018年も多そうですね。まだご覧になっていない方は、一度はぜひ!

http://www.kamakura-arts.jp/calendar/2018/01/028429.html

 

グリーンホール八起寄席

日時:1月15日(月) 開演:18:30

料金:1,500円 他

出演:立川談修、三遊亭兼好、瀧川鯉橋、古今亭文菊

場所相模女子大学グリーンホール

問い合せ:042-749-2200

⇒このメンバーで、この価格! 新春のお年玉かしら。お近くの方はぜひ足を運んでください。

 

隅田川馬石の会 特別編「お富与三郎全段通し」

日時:1月20日(土)、27日(土)、2月3日(土)、10日(土)、17日(土)

開演:14:00

料金:2,700円

出演隅田川馬石

場所:食堂ピッコロ(日本橋

問い合せ:03-3281-0299

日本橋にある小さな食堂ピッコロで土日に開催されている落語会。歌舞伎の演目としても知られる「お富与三郎」を馬石師匠が5回で全段を語ります。滅多に聞くことのできない長編落語。期待大です!

 

*情報内容は、変更等の可能性があります。購入前に確認をお願いします。

 

お勧めの落語家:柳亭左龍(2)~ふくよかな古典の名手。人形町での独演会

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2017年11月29日、人形町で開催された「第2回 柳亭左龍 独演会」に行ってきました。

 

会場は、人形町駅から徒歩5分くらいの日本橋社会教育会館のホール。いかめしい名前のホールですが、ここの席は、列ごとに段差が付いているので、とても見やすいのです。客席数は250程度。広さ、見やすさ、音の響きなど、いろいろな面ですばらしい会場です。

 

まんまるな顔と体から繰り出す、多彩な表現

 

柳亭左龍師匠といえば、まんまるな顔と体に、つぶらな瞳。漫画「おぼっちゃまくん」のような風貌ながら、深く響く美声の持ち主。

 

この日の演目は、

・長短

・片棒

・お見立て

 

「長短」は、おそろしく気の長い長七と、とても短気な短七の噺(はなし)。まったく正反対の性格の2人だが、小さい時分から仲がいい。しかしこの二人、会話や動作のテンポがまったく噛み合わない。長七の饅頭の食べ方や煙草の吸い方、すべてが短七には気にくわない。五代目の柳家小さんが得意とした落語です。

 

落語は音楽と同じようにリズムとメロディーが大切です。この落語の面白さと難しさは、長七と短七で異なるリズムとメロディーを奏でなければならないところ。左龍師は、この緩急のリズムの使い分けが実に見事です。長七の「のんびりした口調」には、聞いている私たちもイライラして、突っ込みを入れたくなります。

 

「片棒」は、倹約を重ねて一代を築いたケチ兵衛さんが、3人の息子の誰かに財産を譲ろうと考え、自分の葬式の提案をさせる噺。父親そっくりの人形を作り山車に載せるとか、骨壺を神輿に入れて練り歩くとか、息子たちの提案する葬式は支離滅裂。

 

この噺で改めて感じたのは、左龍師匠の声量の豊かさ。通常は7割程度の声量で話し、「ここぞ」というときには、驚くほど大きな声が出るのです。また、顔芸ともいえる愉快な表情も魅力的です。山車の人形の表情には、場内から大きな笑いが起こっていました。

 

「お見立て」に出てくる吉原の花魁・喜瀬川は、客で田舎者の杢兵衛(もくべえ)大尽が嫌でたまらない。杢兵衛に会いたくないので、若い衆に「病気だから会えない」「入院したので、ここにはいない」など、いい加減なことを言って応対させるのだが……。

 

この杢兵衛のような人物は、左龍師の得意技。大きな目をギョロリとさせ、大声でなまって話すと、本当に無粋な田舎者が現れます。この杢兵衛、ガサツな雰囲気にもかかわらず、妙に頭の回転が速いところが楽しめました。

 

落語の持っている本来の面白さを味わえる

 

第1回の独演会でも感じましたが、左龍師匠の声の高さや大きさのメリハリ、顔芸ともいえる愉快な表情など、その引出しの豊かさには、本当に驚きます。落語の中に現代的なギャグなど入れず、古典落語が本来持っている面白さだけでしっかりと楽しませてくれる、まさに「本寸法」の魅力です。

 

平日の水曜ということもあり、会場は満席とはいきませんでしたが、集まっているお客さんは、「笑いたいために集まっている」というより、古典落語を楽しみたい方が集まっているという温かい雰囲気でした。

 

前回の独演会もそうでしたが、3席とも左龍師匠のお得意な噺が並べられていました。1つだけ希望を言いますと、せっかくの独演会ですから、普段の高座では聴けないような噺、手掛ける人の少ない長編噺なども、ぜひ聴いてみたい気がします。練達の落語家であることは分かっていますので、さらに新たな一面を見てみたいのです!

 

ともあれ、柳亭左龍、お勧めの落語家さんです!

 

 

柳亭 左龍(りゅうてい さりゅう)

2009(平成21)年 第14回林家彦六賞受賞

2010(平成22)年 花形演芸大賞銀賞受賞

2011(平成23)年 花形演芸大賞金賞受賞

2012(平成24)年 花形演芸大賞金賞受賞

 

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新潮文庫 解説目録をチェックする静かな喜び

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。先日、ある書店に入ったところ、「ご自由にお持ちください」と書かれた『新潮文庫【解説目録】』が平積みされていました。黄色い表紙で、680ページ以上ある大冊です。

 

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1冊いただいて持ち帰り、久しぶりに熟読しました。解説目録は、著者別に作品が並べられ、60字程度の内容紹介が書かれています。作品紹介だけで485ページもあるのですが、色々な発見があり、ページをめくる手が止まりません。

 

解説目録を読んでいると、自分が読んでない本や知らない分野が、まだまだたくさんあることに気付かされます。新たに登場している作家が、どのような作品を書いているのか傾向をつかむこともできます。また、以前は読んでいたけれど、追いかけるのをやめてしまった作家が、その後どのような作品群を発表したのかを知ることも可能です。

 

世界には、自分の知らない英知が山ほど眠っている

 

思えば、太助は小学生の頃から読書好きで、新潮文庫の解説目録を読むことが好きでした。新潮文庫の特徴は、古典と現代文学が程よいバランスで収録されていることです。その解説目録は、児童書から大人の本を読むようになった時期のまさに「道しるべ」でした。日本だけでなく世界中には、大作家と呼ばれる人がいて、不朽の名作と呼ばれる作品群があることを、この本で知りました。

 

自分のまだ知らない英知が、世の中にはたくさんあることを知り、とても興奮したことを覚えています。目録をめくっては、次に読む本を決め、丸印をつけていきました。

 

ドストエフスキーカフカディケンズトルストイパスカル亀井勝一郎夏目漱石太宰治……、手当たりしだいに読んでいきました。小学生なので分からないこともたくさんあるのですが、気にせず乱読していました。

 

そして、ほとんどの方がそうだと思いますが、学生から社会人になり、年を重ねていくごとに文学や哲学からは遠ざかっていきます。「時間がないから」「仕事で忙しいから」「お金がないから」「役に立たないから」、いろいろな理由をつけて、人は本を読まなくなります。

 

50歳を過ぎてからは、現役作家の執筆年齢を超えてしまったためか、作者の考え方や描写が幼く思えてしまい、ますます文学からは遠ざかってしまいました。

 

しかし、最近、つくづく思うことがあります。不朽の名作文学や哲学は、中高年世代こそ読むべきなのです。ドストエフスキー夏目漱石が描こうとしたテーマは、大人が長い人生経験を経たうえで、読み、考えるものではないでしょうか。学生時代に読んでも、頭では理解できても、実感としては分からないのです。

 

高齢化社会になり、中高年になってから、また次の長い人生が始まります。これまでの人生をリセットして、次の一歩を踏み出すにあたり、名作文学を開いてみるのも大切なことではないでしょうか。

 

分厚い新潮文庫の解説目録をめくりながら、そんなことをツラツラと考えていました。

 

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そして現代の有難いところは、目録で注目した作家をネットで調べると、すぐに全作品の情報が分かり、Amazonで即日買えることです。しかも、廉価な中古本で買うことも可能です……。

 

今回、読みたい本や、読み忘れていた本がたくさん見つかりました。さっそく、いろいろと購入して読み進めています。目録で見つけた大崎善生(著)「赦す人―団鬼六伝」は、久しぶりに巡り合えた良書でした。また、機会があればお話ししますね!

太助セレクト落語 1月初旬のお勧め落語会

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。12月下旬から2018年1月上旬の、太助お勧めの落語会をピックアップしました。年明けは、新春興行で落語会が最も活気づく時期です。年の初めを「笑い」で始めようという皆さん、ぜひ落語会に足を運びましょう!

 

年忘れ市馬落語集

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日時:12月27日(水) 開演:18:30

料金:S 6,000円、A 5,000円

出演柳亭市馬桃月庵白酒柳家三三春風亭一之輔、ほか

場所きゅりあん大ホール(大井町

問い合せ:03-6277-7403

⇒第1部:落語競演、第2部:年忘れ昭和歌謡大全集。市馬師匠が昭和歌謡を歌いまくる恒例の年末興行。楽しいですよ~。

 

末広亭恒例年忘れ余一会(昼の部)

扇遊・正朝二人会

日時:12月29日(金) 開演:13:00

料金:3,500円

出演

入船亭扇遊「文七元結」「夢の酒」

春風亭正朝「火焔太鼓」「悋気の虫」

場所末広亭

問い合せ:03-3351-2974

⇒寄席の余一会はお勧めです。いぶし銀の扇遊、正朝師匠。冬にピッタリの噺をじっくり楽しめます。

 

末広亭恒例年忘れ余一会(夜の部)

さん喬・権太楼の会

日時:12月29日(金) 開演:17:00

料金:3,500円

出演

柳家さん喬「掛取万歳」他一席

柳家権太楼「不動坊」他一席

場所末広亭

問い合せ:03-3351-2974

⇒年末恒例の二人会。やっぱり年末には、さん喬師匠の「掛取万歳」を聞かなくちゃ。

 

恒例 トンデモ落語の会

日時:12月30日(土) 開演:18:00

料金:2,500円 予約2,200円

出演快楽亭ブラック立川談之助三遊亭白鳥、瀧川鯉朝、鈴々舎馬るこ

場所:浅草木馬亭

問い合せ:090-8287-8119

⇒「落語っていうのは何でもアリなんだ!」ということを再確認させてくれる恒例のトンデモ落語会。その名の通り、あやしいネタ、あぶないネタ満載の落語会です。

 

特撰落語名人会

日時:1月4日(木) 開演:14:00

料金:4,000円

出演柳家さん喬三遊亭白鳥古今亭菊之丞桃月庵白酒

場所北とぴあホール(王子)

問い合せ:03-6240-1052

⇒新春を飾るにふさわしいメンバーですね。同じメンバーで、5日(金)には江東区文化センターで特撰落語名人会が開催されます。お近くのホールでご覧ください。

 

 

*情報内容は、変更等の可能性があります。購入前に確認をお願いします。

 

立川志らくは、テレビで和服を着るべきなのか?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。平日、昼の情報番組『ひるおび!』で、立川志らく師匠がコメンテーターを務めています。そのコメントや話し方には、賛否両論、いろいろな意見があるようです。

 

なぜ落語家は、テレビであまり見かけないのか?

 

太助は、「落語家さんは、どんどんテレビに出るべき」と思っています。理由は2つあります。1つは、テレビは最も影響力の強いメディアだからです。テレビに出演する芸能人は、知名度が上がるだけでなく、別格の存在になります。先日、ある漫才ライブで、テレビでよく見かけるコンビが出演していました。そのコンビが登場したとき、集まっている人たちの興奮が、明らかに変わるのが分かりました。テレビに出ている人を直接見られるということは、やはり大きな興奮を誘うのです。

 

また、テレビ局に行ったことがある方は知っていると思いますが、テレビスタジオの照明の光量はすごいものがあります。まさに眩い(まばゆい)ばかりの世界です。あの明るさに対峙して、何かを演じたり、語ったりするためには、並はずれた能力が必要となります。結果、テレビに出演し続けている芸能人は、独自のオーラをまとうようになります。

 

テレビに出ることによって、知名度は全国レベルになり、落語会への集客も格段に増え、1ランク上のオーラを身につけられるのですから、落語家さんは、どんどんテレビに出るべきなのです。

 

しかし現在、娯楽系番組の大半は、ジャニーズと漫才師で占められています。漫才師に需要があるのは、漫才やコントにニーズがあるからではなく、面白いことを言って番組を盛り上げてくれたり、番組をスムーズに進行させてくれるからです。

 

面白いことを話すことが職業の落語家が、漫才師に代われないはずはありません。

 

テレビの空間における着物の違和感

 

しかし、笑点などの「落語枠」以外で、テレビ出演している落語家さんはほとんどいません。これはなぜでしょうか? 昼の番組でコメンテーターを務める志らく師を見たときに、その理由が分かりました。

 

着物なのです。志らく師匠の着ている和服は高価なものだと思いますが、テレビの空間の中では明らかに異質です。残念ながら、地味で、暗く、沈んで見えます。

 

和服は、その名の通り、木や紙で作られた「和」の空間にマッチするものです。障子やふすま、畳、床の間、あるいは座布団など「和」の空間の彩りや佇まいに合うのです。寄席は、まさに木と紙を基調とした空間ですから、落語家が最も調和のとれる場といえます。

 

テレビのセットは、明るすぎるモダンな空間ですから、和服が浮き上がってしまうのは仕方がないのです。

 

ちなみに落語家さんは、日常的に和服で生活しているわけではありません。着物はあくまで舞台衣装です。普段は私たちと同じく、カジュアルな服装で過ごされています。

 

ここで1つ言いたいのは、普段着の落語家さんは、ほとんどの方がおしゃれではありません。太助も人のことは言えないのですが、ハッキリ言って「ダサい」のです。

 

落語会で、落語のあとにトークショーが行われることがあります。高座を終えた落語家さんが私服で出て来たりしますが、これが本当に「センスがない」というか、「うーん」という感じなのです。

 

テレビにレギュラーで登場する春風亭昇太師匠や立川志の輔師匠は、カジュアルな服装も非常におしゃれです。若い漫才師でもレギュラー番組を多く持っている人たちは、やはり「センスが良いな」と感じます。ファッションセンスは、本人が意識的になり、かつ人の目を意識することで、より磨かれるものだからでしょう。

 

落語家が今後、テレビにどんどん進出していくためには、和服を脱ぎ、ファッションセンスを磨いてくことが必要なのではないでしょうか。

 

というわけで、立川志らく師匠には先頭に立って、センスのよいファッションで登場してもらいたいな、と思っているのです。

 

臨機応変トークができ、オシャレ感のある落語家さんが、たくさん現れて、テレビ界でもっともっと暴れてくれることを願っています。

 

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太助セレクト落語 12月のお勧め落語会(3)

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2017年12月下旬の、太助お勧めの落語会をピックアップしました。年末最後のこの時期、大物の公演も目白押しです。チケットを取るのが難しい落語家さんは、お早めに!

 

雲助・白酒 縁づくしの会

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日時:12月12日(火) 開演:19:30

料金:3,500円

出演五街道雲助桃月庵白酒

場所:座 高円寺2

問い合せ:03-5474-1929

⇒師弟とは思えないほど、いまや芸風の異なる二人。年末のこの時期、どんなネタをかけてくれるのか楽しみです。

 

志の輔らくご

日時:12月14日(木)~19日(火)*17日は休演 開演:18:30

料金:6,000円

出演立川志の輔

場所:EXシアター六本木

問い合せ:03-3477-5858

⇒日本で一番チケットが取れない落語家・立川志の輔師匠の年末恒例の落語会です。毎年、いろいろな仕掛けも繰り出す、大掛かりな高座をお楽しみに。チケットは11月18日から発売です!

 

朝日名人会

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日時:12月16 日(土) 開演:14:00

料金:4,300円

出演

春風亭一朝「七段目」

柳亭市馬文七元結

柳家喬太郎「同棲したい」

三遊亭歌武蔵「禁酒番屋

桂宮治「壺算」

場所:朝日ホール(有楽町)

問い合せ:03-3267-9990

⇒年末のオールスターそろい踏み。楽しくて明るい落語がタップリと聞けそうです。市馬師匠の文七元結も聴けますよ。

 

復活円丈 文七元結を聴く会

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日時:12月23日(土) 開演:13:00

料金:3,100円

出演三遊亭円丈柳家小ゑん三遊亭白鳥林家彦いち、三遊亭百栄 ほか

場所国立演芸場

問い合せ:0570-07-9900

⇒新作の闘将・三遊亭円丈師匠の公演。円丈師のDNAを継ぐメンバーが集結!

 

 

らくご長屋「鯉昇爆笑飄々独演会」

日時:12月25日(月) 開演:19:00

料金:2,700円

出演瀧川鯉昇

場所なかの芸能小劇場

問い合せ:03-6304-8545

⇒クリスマスの夜、鯉昇師匠のほんわかした高座を聴くのも、いいんじゃな~い♪ 

 

*情報内容は、変更等の可能性があります。購入前に確認をお願いします。

落語の登場人物:ご隠居は、なぜウンチクを語るのが好きなのか?

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語によく出てくる登場人物は、大体決まっています。長屋の八っつぁん、熊さん、ご隠居さん、おかみさんと子供。商家の大旦那、若旦那、番頭さん。廓噺(くるわばなし)の花魁や幇間。おなじみのメンバーですが、今回は「ご隠居さん」を紹介します。

 

落語におけるご隠居さんは、いろいろなことを知っている「物知り」という役回りです。その名の通り、現役を引退して、のんびりと暮らしています。八っつぁんや熊さんなど長屋の連中は、何か分からないことがあると、ご隠居に聞きにいきます。あるいは暇つぶしにご隠居の家に来て、いろいろなことを教わります。

 

落語にちょくちょく顔を出すご隠居ですが、2通りのタイプがいます。藤子不二雄になぞらえてAとBで説明しましょう。タイプAのご隠居は、本当に知識や人生経験が豊かで、訪ねてきた連中に、きちんとした見聞やアドバイスを与えます。問題なのはタイプBのご隠居で、この人は知識がないのに「知ったかぶり」をするのです。そして苦しまぎれに、滅茶苦茶なことを言い出します。

 

あれこれと質問してくる相手に、無茶苦茶な回答をする落語を、「根問(ねとい)もの」と呼ぶこともあります。ご隠居の「いい加減さ」や「アバウトさ」も、落語の大きな楽しみの1つです。ご隠居の登場する落語をいくつか紹介しましょう。

 

無茶苦茶なこじつけを連発するご隠居たち

 

千早振るちはやふる

 

八五郎の娘が友達と百人一首を楽しんでいて、その中の1枚の意味を尋ねてきた。それは『千早振る 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがわ) からくれないに 水くぐるとは』という在原業平の歌であった。さっぱり分からない八五郎は、ご隠居に尋ねに来るのだが、ご隠居も実は全く意味を知らない。龍田川という相撲取りが、千早という花魁に一目惚れをしたという、苦し紛れの解釈を話し始める……。

 

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茶の湯

 

息子に店を譲り、悠々自適の身になったご隠居。根岸に家を見つけ、小僧の定吉と暮らし始めたのだが、暇を持て余している。茶道具一式があったので茶道を始めることにしたのだが、実はこのご隠居、茶道のことはさっぱり分からない。お茶の「緑の粉」がどこで売っているのかも分からず、青黄粉(あおぎなこ)を使ったり、泡立たないので椋(むく)の皮を入れたりと、滅茶苦茶な茶の湯を始める。

 

つる

 

仕事が早く終わった八五郎が、ご隠居のところに来て、鳥の「つる」の名前の由来を尋ねる。由来など知らないご隠居が、オスが「ツ~」と飛んできて松の枝に止まり、その後、メスが「ル~」と飛んできて同じ松の枝に止まったから「つる」となったといい加減な回答をする。それを真に受けた八五郎が、友達にこの知識をひけらかしに行くのだが……。

 

バールのようなもの

 

立川志の輔師匠の創作落語です。新聞記事に『宝石店に泥棒が入った。犯人はシャッターをバールのようなもので、こじ開けて入った』と書かれていた。八五郎がご隠居に「このバールのようなものとは、バールなのか、それ以外のものなのか」と執拗に尋ねる噺。根問ものの傑作です。

 

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このような根問もの以外にも、ご隠居が登場する噺として「短命」「浮世根問」「やかん」「雑俳(ざっぱい)」「道灌(どうかん)」などがあります。

 

人はなぜウンチクを語るのが好きなのか?

 

ウンチクとは、「蓄えた深い学問や知識」をいいます。ご隠居は、自分のウンチクを無学な八五郎に聞かせられることが、とてもうれしいのです。

 

私たちの周りにも必ずいますよね、ウンチクを語ることが大好きな人が。特に男性に多いようです。歴史について、外国について、政治について、ワインについて、町の地形について、サッカー選手について……。語り始めると、熱くなって、止まりません。

 

あれは何なんでしょうか? 「いかに自分が博識か、自慢がしたいのだ」という人もいます。「女性の前でカッコつけたいのだ」という意見もあります。しかし太助は、ちょっと違うと思っています。

 

TBSで「マツコの知らない世界」という番組が放映されています。この番組には、毎日アイスを食べている人や日本中の駅弁を食べている人など、何かにはまっている人たちが登場します。このマニアたちが、「駅弁ベスト3」や「アイスベスト3」などを選んで、マツコ・デラックスに食べてもらったりします。

 

お勧めの品を食べるマツコを見つめるマニアたちの表情が、とても面白いのです。「私が選んだのだから間違いがないはず。しかし、選んだ品が評価されなかったら、どうしよう」という不安と期待が混ざった、実に複雑な表情を浮かべるのです。

 

そしてマツコが「これ本当に、すっごくおいしい!」と言ったときの、マニアたちのうれしそうなこと!

 

ウンチクを語るのは、「自分がこだわっている世界の楽しさ、素晴らしさを、何とか知ってもらいたい」という気持ちの表れでもあると思います(ただし、ほとんどの場合、聞くほうにとっては「ウザイ」だけなのですが)。

 

ご隠居たちのいろいろなウンチクを、ぜひ楽しんでみてください!

 

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お勧めの落語家:立川談修~端正な語り口で聴かせる新時代の名手

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。秋の気配も深まり、冬の寒さも感じられるようになってきた11月6日、人形町で開催された立川談修・独演会「談修インザダーク Vol.5」に足を運びました。

 

端正な語り口から繰り出される、少しダークな噺の数々

 

立川談修師匠は、とても端正な語り口ときれいな所作が特徴です。顔立ちは、育ちのよい若旦那という感じでしょうか。どのような噺を演じても、実に上品に仕上げます。悪ガキの代表である長屋の子供(金坊)や口の悪いおかみさんでも、談修師が演じると、品が良く、とても可愛らしくなってしまうから不思議です。

 

ただし、談修師は「お上品な落語」を志向しているわけではありません。すでに5回目の開催となる、この「談修インザダーク」は、以下のようなコンセプトで開催されています。

 

〝明るく面白いだけが落語の魅力ではない〟をモットーに、

陰惨な内容の噺や地味で演じ手の少ない〝かげりのある噺〟ばかりを選び、

落語の持つディープでダークな部分を楽しんでいただこう、という企画です。

(立川談修ホームページより)

 

 

この日の演目は、

身投げ屋

応挙の幽霊

妲己のお百(だっきのおひゃく)

 

「身投げ屋」は、爆笑王・柳家金語楼が創作した落語。橋から身投げするふりをして、通りかかりの人たちから金を貰う「身投げ屋」を始めた男。うまい具合に儲かったのだが、みすぼらしい父子がやってきて「死んで、お母さんのところへ行こう」などと話し始める。男は同情して、手に入れた金を全部与えてしまう。ところが、この父子も身投げ屋だった、という噺。談修師が演じると、子供が実に可愛らしく、お金を与えたくなる気持ちが伝わってきます。

 

「応挙の幽霊」は、江戸時代の絵師・円山応挙(まるやまおうきょ)が描いたという幽霊画の掛け軸を巡るコメディ。絵の中の美人幽霊が出てきて、道具屋と酒を飲み始め、酔っぱらってしまいます。この幽霊の愛らしいこと!

 

妲己のお百」は、談修師の師匠である立川談志が得意としていた怪談噺。悪女の代名詞のような妲己のお百が主人公。目を患って門付けしている元芸者・峰吉親子を引き取ったお百は、峰吉を目の療治に行かせている間に、娘を吉原に売り飛ばしてしまう。戻って来た峰吉も邪魔になり、自分の旦那の子分に殺させてしまうのだが……。

 

今回公演の目玉というべき、この怪談噺では、途中から照明が落とされ、山場では鳴り物も入り、実に迫力がありました。悪女・お百と、やつれ果てていく峯吉のやり取りが、太助的には一番、ゾッとしました。

 

怪談、幽霊噺、身投げで金儲けする噺と、確かにディープで陰りある落語ばかり。しかし、談修師匠の品の良い語り口だからこそ、必要以上に陰湿にならず、ときに笑い、ときにゾクッとしながら3席を楽しむことができた気がします。

 

柳家三三師匠もそうですが、談修師も過度なギャグや客いじりを入れないので、本当にじっくり落語を聴きたいという方には、ピッタリの落語家さんです。

 

帰り道、昔々、プロの歌手から聞いた言葉を、ふと思い出しました。「トップになる歌手は、歌がうまいだけでなく、歌に粘りけぬめりがある」と、その方は言っていました。井上陽水やB'zの稲葉浩志などがそうですが、確かに歌に納豆のような、糸を引くベトッとした粘りけがあります。

 

そういえば、名人と呼ばれた三遊亭圓生(えんしょう)の怪談には、ベタっ~とした、体にまとわりつくようなものがありました。いやな感じが残るというか……。

 

立川談修師匠や柳家三三師匠など、現代の「上手」な落語家さんには、そのような粘りけやぬめりは、あまり感じません。いまの若い世代は、「納豆の粘りけが嫌い」という人が多いそうですから、「トップの落語家像は変わっていくのかもしれないな」などと考えつつ帰途につきました。

 

今回の公演は、第72回 文化庁芸術祭参加公演。月曜日の夜にもかかわらず会場はかなりの入りで、最後の一席「妲己のお百」が終わった後は、惜しみのない拍手が響いていました。

 

小噺から今回のような少しダークな噺まで、気持ちよく聴かせ、引き込ませる落語家・立川談修師。間違いなくお勧めの落語家さんです!

 

 

立川談修(たてかわ・だんしゅう)

1995年 立川談志に入門

2013年 真打昇進

 

ホームページ

http://tatekawa-dansyu.com/

 

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お勧めの新作落語家ベスト5~志の輔、白鳥、彦いち、喬太郎、昇太

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。今回は、お勧めの新作落語家を紹介します。

 

昔から伝わる噺(はなし)を語り継ぐ古典落語に対して、新作落語は、落語家自身が創作する落語です(創作時期が新しいものを新作と呼ぶ場合もあります。また本人以外が作る場合もあります)。

 

落語家さんは、1)古典落語のみを演じる落語家、2)古典落語新作落語を演じる落語家、3)新作落語のみを演じる落語家、の3タイプに分類することもできます。

 

新作落語はストーリーを創造する才能が必要なため、誰にでもできるものではありません。また、古典落語は、長い歴史の中で多くの落語家に語り継がれ、練り上げられていきますが、新作落語は創作者自身が高座にかけ、一人で完成させていく必要があります。

 

落語というと、江戸時代が舞台の古典落語を想像しがちですが、新作落語でも才能豊かな落語家さんが登場しています。ぜひ、一度、聴いてみてください。その面白さに病みつきになるかもしれませんよ。

 

現代を舞台にした新作落語の楽しさ

 

古典落語は、江戸時代など昔の風習や人物で作られた噺です。これに対して新作落語は、現代を舞台にした噺が大半です。私たちが暮らしいている生活や風俗をもとに作られた噺なので、場所や人物がリアルに映像として浮かびます。

 

また、ストーリーを作る落語家さんの鋭い感性に触れられるのも楽しみの1つです。現代社会のこんなところに着眼し、こんな風に面白く切り取れるんだ」と感心することが多々あります。

 

初めて新作落語を聞く方に、お勧めの落語家さんを紹介します!

 

立川志の輔

 

志の輔師匠は、古典落語新作落語の両方を演じる落語家です。日本で最高の観客動員数を誇る落語家さんだけあって、古典も新作も実に素晴らしいものがあります。新作においては、日常生活の何でもない1シーンを切り取り、ちょっとした感情の揺れ(イラっときた等)や「ずれ」を増幅させ、1つの物語を作り上げていきます。「志の輔ワールド」とも呼ばれる独自の世界を確立しています。

 

三遊亭白鳥

 

白鳥師は、新作落語と古典を改作して演じる落語家さんです。新作落語の鬼才と言ってよいでしょう。その作り出す世界は、時代も主人公も実に多種多彩です。砂漠で江戸っ子の営む食堂に出合ったり、UFOを呼ぶことのできる女教師が出て来たり、動物園の動物たちがパンダの大名跡を争ったりと、奇想天外なSF小説のような世界が繰り広げられます。しかし、単なる荒唐無稽な噺ではなく、周到に伏線が張られた上質なストーリーも数多くあります。創作の「天賦の才」を与えられた落語家さんです。一度、高座で聴いてみてください。

 

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林家彦いち

 

柔道、空手の経験者である彦いち師は、古典落語新作落語を演じる落語家さんです。マクラも新作も格闘系、体育会系の噺が多いのですが、アウトドア愛好家でもあるので、話しのフィールドが非常に広いという印象があります。日常生活での観察眼も鋭く、小さな発見を1つのストーリーにまとめあげられる、優れた力量の持ち主です。

 

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柳家喬太郎

 

古典、新作ともに独自の世界を確立している人気・実力ともにトップクラスの落語家さんです。喬太郎師については、すでに紹介していますので、ぜひこちらをお読みください!

 

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春風亭昇太

 

笑点」の司会者となって、日本中で知らない人はいないほどの知名度を獲得しました。登場するだけで、高座全体がパァ~と明るくなる存在感は、やはり素晴らしいものがあります。昇太師の新作落語は、その風貌と相まって、登場人物がどこか可愛らしいのが特徴です。明るく、大笑いして、元気になれる昇太落語は、子供から大人まで、本当に誰でも楽しめる世界です。

 

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落語業界は、真打が64%のすさまじい逆ピラミッドの世界!!

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。落語家は、師匠に弟子入りを許されると、前座見習い前座二つ目真打(しんうち)と序列を上げていきます。この真打になるためには、団体によって違いはありますが、12年から15年かかるといわれます。前座での修行を経て、たくさんの噺を覚え、晴れて最高位である真打に到達するのですね。

 

しかし、落語の世界は「定年がなく、真打ばかりが大量にいて、前座が極端に少ない逆ピラミッドの業界だ」とも言われます。

 

今回は、落語業界の階級分布に焦点を当てて、その特異な構造を考えてみたいと思います。

 

なんと真打が64%を占める、すさまじい逆ピラミッドの業界!

 

今回、落語家さんの階級分布を調べてみました。東京の落語家さんの総数を調べてみると総数551名(2017年10月現在)。真打、二つ目、前座の人数を調べると、以下のようになりました。

 

真打   352名

二つ目 120名

前座    79名

 

グラフにすると、こんな感じになります。

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パーセンテージでは

真打   64%

二つ目 22%

前座   14%

となります。

 

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見事な逆ピラミッドができあがりますね。なぜ、このような逆ピラミッドができるかというと、落語家には定年がないからです。廃業しない限り、いつまででも現役の落語家です。桂米丸師匠は大正14年生まれの92歳、いまだに現役です。

 

増え続ける真打に対して、落語業界に入門して前座になる若者は、それほど多くはありません。

 

1年間、ほとんど休みのない、きびしい前座修行

 

前座修行という言葉がありますが、落語業界に入ると、数年は修行の毎日です。

 

落語家になるためには、まず入門したい師匠に弟子入りを願い、許可されると前座見習いとなります。前座見習いの仕事は、師匠のかばん持ち、師匠の家の雑用などです。そして、この期間に前座になるための修業を積むのです。落語の稽古、着物の着方やたたみ方、鳴り物(出囃子の太鼓)の稽古などです。師匠から許可が出て初めて、寄席の楽屋入りができるようになり、前座となります。

 

前座の仕事は、前座見習いの用事に加えて、寄席の仕事が加わります。楽屋の掃除など開演の準備から、寄席が始まると高座返しをしたり、出囃子の太鼓を叩いたりします。また、楽屋では、先輩方にお茶を出したり、師匠方の着替えの手伝い、ネタ帳をつけたりと働きます。プログラムが終了すると、楽屋の後片付け。こうした日々の仕事の合間に、噺の稽古をつけてもらったり、他のお稽古事などをします。

 

前座は毎日寄席に通うので、お休みは余一(大の月の31日)のみ。毎日この繰り返しをして、約4年で二ツ目になるそうです。

 

給料は、寄席の出演料(5,000~1万円程度)と師匠からいただく給金で、けっして高くはありません。高校や大学を出たばかりの遊びたい盛りの年齢で、休みがほとんどなく、給料も高くないわけですから、職業として選ぶ若者は多くはないでしょう。

 

今後、高齢化が進み、ますます真打が増えていくと、本当に前座が足りなくなる可能性があります。三遊亭白鳥師匠が新作落語「老人前座じじ太郎」で話していたように、中高年を使わなければ人手が足りなくなる日が来るかもしれません。

 

太助を含め、落語を演じたいという中高年は多く、リタイア世代は金銭第一ではありませんから、生涯前座として雇うのは良いかもしれません(笑)。使えない、使いづらいは覚悟のうえで、検討してみてはいかがでしょうか?

 

参考記事

 

落語家の階級(落語芸術協会ホームページより)

落語家の階級 - 落語ってなに? - 落語はじめの一歩|落語芸術協会

 

 

三遊亭白鳥「老人前座じじ太郎」

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太助セレクト落語 12月のお勧め落語会(2)

こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2017年12月中旬の、太助お勧めの落語会をピックアップしました。年末のこの時期、団体を超えた珍しい組み合わせの落語会も色々と行われます。落語家さんも刺激になるようで、熱の入った高座が見られますよ!

 

鯉昇・喬太郎・桃太郎三人会

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日時:12月6日(水) 開演:18:45

料金:3,600円

出演瀧川鯉昇柳家喬太郎昔昔亭桃太郎

場所日本橋公会堂(水天宮前)

問い合せ:03-3270-4689

⇒まったく噺のタイプが違う3人の落語家さんが共演する落語会。どんな雰囲気の会になるか、今からワクワクです!

 

特撰落語会「さん喬、白鳥、菊之丞三人会」

日時:12月8日(金) 開演:18:30

料金:3,600円

出演柳家さん喬三遊亭白鳥古今亭菊之丞

場所:日暮里サニーホール

問い合せ:03-6240-1052

⇒古典の名手・柳家さん喬新作落語の鬼才・三遊亭白鳥、古今亭の人気頭・古今亭菊之丞師匠の競演。これも珍しい組み合わせ。どんな落語会になるか本当に楽しみです!

 

柳家喬太郎欧州公演・ただいまー会

日時:12月8日(金) 開演:19:10

料金:3,800円

出演柳家喬太郎、春風亭正太郎

場所:成城ホール

問い合せ:03-3482-1313

⇒欧州公演を無事に終えた柳家喬太郎による落語会。スライドを使っての欧州公演報告もあるそうですよ。

 

雲助・一朝・小里ん 師走「雲一里」

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日時:12月11日(月) 開演:19:00

料金:3,500円

出演五街道雲助春風亭一朝柳家小里ん、春風亭一蔵

五街道雲助「芝浜」

春風亭一朝「三井の大黒」

柳家小里ん「言訳座頭」

場所日本橋公会堂(水天宮前)

問い合せ:03-5809-0550

⇒江戸を感じさせてくれるベテラン落語家、雲助・一朝・小里ん師匠。雲助師は「芝浜」を演じます。この季節に聞きたい噺です。

 

師走 宮治本舗「桂宮治独演会」

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日時:12月12日(火) 開演:19:00

料金:2,500円

出演桂宮治

場所国立演芸場半蔵門

問い合せ:03-5216-9235

⇒いま、ノリに乗っている桂宮治さん。国立演芸場で独演会です。とにかく明るくて、元気いっぱい。元気がもらえる落語家さんです。

 

*情報内容は、変更等の可能性があります。購入前に確認をお願いします。

柳家喬太郎:新作、古典、マクラの3拍子揃ったオールラウンドプレーヤー

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。今回のお勧めの落語家は、柳家喬太郎師匠です。私がいまさら紹介するまでもなく、人気・実力ともに落語界の最高ランクに位置する噺家さんです。

 

新しい時代の名人像を感じさせてくれる落語家

 

喬太郎師匠は、新作落語古典落語を高い水準で演じることができ、マクラの面白さも抜群という、まさに3拍子揃ったオールラウンドプレーヤーです。

 

古典落語が過去から引き継がれた演目であるのに対し、新作落語は落語家自身が創作する落語です(作られた時期で古典、新作と区分する場合もあります。新作は、本人以外が作る場合もあります)。古典落語が役者と演出を一人でこなすものとすれば、新作落語は作・演出・役者を兼ねるようなものです。

 

芝居の世界で、役者さんに台本を書けといっても、ほとんどの方はおそらく書けないでしょう。落語の世界でも同様です。こればかりは得手・不得手、持って生まれたものがあると思います。

 

新作落語古典落語を高い水準で演じることができ、マクラの面白さも抜群というマルチプレーヤーは、喬太郎師の他には、立川志の輔師匠が挙げられます。

 

桂文楽古今亭志ん朝など、これまで名人と呼ばれた落語家は、古典落語の演目を磨き上げることで、高い評価を得ていました。野球でいえば、高打率でホームランもたくさん打つスラッガータイプ。どっしりとしていますが、盗塁するような軽やかさはありません。

 

これに比べて、喬太郎師や志の輔師は、攻・走・守が揃ったイチロータイプのプレーヤーという感じです。

 

この2人を観ていると、新しい時代の名人像を感じさせてくれます。

 

優れた短編小説を読んでいるような新作、幅広いバリエーションの古典

 

喬太郎師の新作落語は、現代社会の生活の一部を上手に切り取り、登場人物たちの心理の揺れなどを丁寧に、面白おかしく描きます。特に、今どきの女の子っぽい口調が上手なので、表現する世界に幅があります。

 

サラリーマンのいやらしいオヤジが出てくるかと思えば(夜の慣用句)、男女の少しせつない別離が描かれたり(ハンバーグができるまで)、笑わせまくって最後にホロリとさせる名作(ハワイの雪)など、その世界は多彩です。ウルトラマンのマニアであることも有名で、ウルトラマンネタも人気があります。

 

古典落語も新作と同比率で演じています。ストーリーに手を加えず、じっくりと聞かせる場合もあれば、色々なギャグを入れて改作してしまう場合もあります。後者の例でいえば、「井戸の茶碗」という古典落語に、昭和の歌謡曲をたくさん入れ、歌いながらストーリー展開する「歌う井戸の茶碗」という作品に仕立てたりします。

 

あまり演じられることのない「擬宝珠」のような珍しい噺を手掛けると思えば、「死神」など少し陰気な噺も演じます。

 

また、喬太郎師のマクラの面白さも特筆に値します。普段よく目にしているのに見過ごしている「そばの上に乗っているコロッケ」などを題材に、爆笑のマクラを展開します。聴衆は、喬太郎師が高座に上がったときには、新作が始まるのか、古典を演じるのか分かりません。「どちらを演るのだろう」と推理する楽しみもあります(マクラの途中で、「このマクラだったら古典はないですよね」などと笑わせたりしますが)。

 

新作から古典まで、本当に幅広く演じ、時には歌い(「東京ホテトル音頭」というCDも出しています)、映画の主演もこなす現代の名手。チケットを取るのは大変ですが、一度は、ぜひ生の高座をご覧ください。

 

少し気になるのは、最近、太り過ぎな気がするのと、喉の調子が悪いのか高座で咳が多いこと。ぜひ、お身体にはお気を付けください。あと、……やっぱり弟子は取らないのかなぁ。喬太郎師の芸は一代限りなのかしら。

 

1998(平成10)年 NHK新人演芸大賞落語部門大賞

2001(平成13)年 彩の国落語大賞

2005(平成17)年 平成16年度 国立演芸場花形演芸会大賞

2006(平成18)年 平成17年度 国立演芸場花形演芸会大賞

2006(平成18)年 平成17年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞【大衆芸能部門】

2007(平成19)年 平成18年度 国立演芸場花形演芸会大賞

 

柳家喬太郎 寄席根多独演会 バイオレンスチワワ/反対俥/紙入れ [DVD]

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日本コロムビア

 

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